経営再建中の東芝が、Bリーグ川崎の運営権をIT大手のディー・エヌ・エーに売却することを発表したことを受け、川崎の篠山竜青主将(29)が6日、「愛着があるし、寂しい思いもある」と語った。

 東芝の実業団だった川崎は昨秋のBリーグ開幕に伴ってプロ化するまでは、日本人選手全員が社員として午前中は通常業務に就くなど、Bリーグの旧企業チームの中でも最後まで一番「実業団らしい」チームだった。篠山も社員として5年在籍。単なるクラブの「親会社」にとどまらない東芝への深い「愛社精神」を明かした。

■「期待もあれば不安もある」

 川崎の選手らは発表前日の練習後に集められ、クラブを運営する東芝の子会社の荒木雅己社長から伝えられたという。篠山は「プロスポーツではオーナーが替わるというのは珍しいことじゃない。こういうこともあるのかなと頭のどこかにあった。何かが変わっていくときは期待もあれば不安もある」と胸の内を明かした。

 一方、自身は横浜市出身。ディー・エヌ・エーについて「集客でも実力でもプロチームとしての成長を遂げている。すごくポジティブなイメージ」と話した。

■「東芝さんの愛を感じる」

 バスケット界では、近年でも2013年にパナソニックが経営合理化のために休部するなど、会社の浮き沈みに左右されるケースがあった。今回のように、有力な経営者に譲渡されてクラブが存続していくことは、Bリーグ発足によるプロ化の恩恵ともいえる。篠山は「会社が苦しい状況の中で、次に支えてくれる存在を見つけてくれて、受け渡してくれた。東芝さんの僕らに対する愛を感じる」と語った。

 一方、今も企業の部活動のままのラグビー部や野球部の活動は、当分の間継続することも同時に発表された。篠山は「野球やラグビーに同期の選手もいる。少し心配していたんですけど、残すと聞いてすごく安心した。東芝という会社がスポーツに対して愛のある会社なんだと再確認できてうれしかった」。

 東芝の不正会計が取りざたされた15〜16年シーズンはくしくも、Bリーグ開幕を控えたNBL最終年。実業団としての最後のシーズン、選手らは「従業員を元気づけたい」と奮闘し、プレーオフ決勝ではアイシン三河(当時)に2連敗ののちに3連勝して優勝を果たした。

■燃え上がる思い再び

 今季も「会社のために」という思いが再び燃え上がっている。篠山は「長い東芝バスケットボール部の歴史としては一区切り。恩返しをするという意味でも、今年結果を出そうという気持ちは選手・スタッフの間で高まっている」。

 東芝の経営再建に向けてはまだ厳しい状況が続くが、「僕たちは東芝なら立ち直れると思っていたし、いまも思っている」。会社への熱い思いを語った。(伊木緑)