東西冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊して30周年の9日、ベルリン市内で記念式典が開かれた。当時の民主化運動をリードしてきたポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの東欧4カ国の大統領も臨席。メルケル首相らと記念日を祝い、壁崩壊の歴史的な意味を確認し合った。

 式典は、かつての東西ベルリンの境で、壁や監視塔などが残されている場所で開かれた。メルケル氏ら参加者は、無機質なコンクリート壁の隙間に赤や黄のバラの花を一輪ずつ挿した。あらゆる壁を崩し、新しい未来をつくっていくという意味を込めたものだ。

 メルケル氏は「自由、民主主義、平等、法の支配、人権擁護といった価値観は自明のものではない。何度も息を吹き込み守っていかねばならない」と語った。

 9日夜には、市内中心部のブランデンブルク門前の特設舞台で、記念の音楽や踊りなどの催しがある。ベルリン国立歌劇場管弦楽団はダニエル・バレンボイム氏の指揮で、ベートーベンの交響曲第五番「運命」を演奏する。

 ベルリンを東西に分断した壁は、当時の東ドイツ政府が1961年8月、国内からの逃亡を防ぐためにつくった。東ドイツ国内でも民主化運動が盛り上がった1989年11月9日夜、政府幹部が記者会見で、移動の自由を認める政策が「即時適用される」と発言。ニュースを知った大勢の市民が国境に殺到して検問所を開けざるを得なくなり、壁が事実上、意味をなさなくなった。(ベルリン=野島淳)