岡山県笠岡市の笠岡湾干拓地では畜産農家17戸が乳牛、肉牛合わせて9千頭を飼っている。1日に出る牛ふんは約800トン。その有効活用は長年の課題だった。牛ふんを燃料に代えてのバイオガス発電が始まることが決まり、施設は2023年の操業を目指す。循環型農業のモデルとなり、市街地に流れ込む臭いの軽減にもつながるという。

 畜産農家7戸と、太陽光発電施設工事などを手がける「三和電気土木工事」(大阪市)が共同で「かぶとバイオマスプラント有限責任事業組合」を設立。発電施設を10月に着工することになった。総事業費は約30億円の見込みで三和側が全額負担する。

 計画では、干拓地内の民有地約3ヘクタールを用地として取得し、発電施設や発酵槽などを備えたプラントを建設。農家から提供される1日200トンの牛ふんを発酵させて生じたガスで発電する。出力は1200キロワットで北海道を除けば国内最大級となるという。中国電力に売電し、年3億9千万円の売り上げを見込む。

 発酵後の牛ふんは肥料と水に分解。発電で生じる熱や二酸化炭素は温室栽培に活用する。施設はほぼ1年通して稼働。牛ふんは一日に発する総量の4分の1を使い、臭いの軽減につながるとしている。

 市によると、笠岡湾干拓地では1990年に農家の入植が始まった。県内有数の畜産地で、牛乳は県内消費量の4割を生産している。一方、牛ふんの臭気は数キロ離れた市内中心地にも風に乗って流れつき、「窓が開けられない」などの苦情が市役所にこの3年間で計40件以上寄せられ、長く地域の課題となっていた。

 笠岡市を含む関係者が、施設整備と運営についての協定を3月に締結した。同組合の山本真五組合長は「広大な干拓地で畜産業を発展させる中、臭気で地域にご迷惑をかけてきた。牛ふんの再資源化を進めて臭気を軽減し、地域と共存できる農業を進めたい」と抱負を述べた。(小沢邦男)