「酔っ払ったからパトカーで家まで送って」「洗濯機の中にタヌキがいる」――。1月10日の「110番の日」にあわせ、大阪府警が昨年1年間の受理状況をまとめた。新型コロナウイルスの影響が続く中、総件数は2年連続で100万件を下回った一方、緊急とはいえない通報も少なくないという。

 「事件ですか。事故ですか」「何分くらい前のことですか」。10日の府警通信指令室。次々に呼び出し音が鳴り、問いかける警察官の声が重なっていく。一日通信指令室長のタレント、有沢伶菜さん(25)が模擬通報を通じ、適切な通報を呼びかけた。

 府警によると、昨年の総受理件数は96万6314件。32・6秒ごとに1件の通報が入るペースだった。26年ぶりに100万件を下回った前年からは3万7446件増えたが、引き続き大台は割った。担当者は「コロナで人の活動が制限された影響が続いているのではないか」と話す。

 内容からもコロナ禍がうかがえる。「要望・苦情・相談」は15万611件で、コロナ禍前の2019年から2万4818件増加。特に「隣がうるさい」といった騒音に関する苦情が目立つという。日中の通報も多いといい、「在宅ワークのためではないか」とみる。

 コロナはいたずらなど「非有効」とされる通報の対策に影を落とす。従来、繰り返される場合には訪問もしていたが、接触を控えるべき事態に。コロナ禍前の19年より総件数は減った一方、非有効な通報は21万9526件で4303件増加した。

 府警は昨年、20年に9千件超の暴言などの通報を繰り返したとして、府内の20代男性を偽計業務妨害容疑で逮捕し、有罪判決が出ているという。

 有効な通報にも、「クーラーのリモコンが見当たらない。寒いから探してほしい」「自動販売機に千円札が吸い込まれて出てこない」といった内容が含まれる。担当者は「命の危険を感じたり、物を盗まれたりした場合は遠慮なく110番通報してほしい」と話す。一方、回線や警察官の人数には限りがあり、急ぎではない相談は、「♯9110」番や最寄りの警察署に連絡するよう呼びかけている。(荻原千明)