【新潟】加茂市の中心部を流れる加茂川で、約550匹のこいのぼりが春風にそよいでいる。1989年から続く風物詩だが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止に。2年ぶりの開催で10日まで楽しめる。

 こいのぼりは最も大きなもので体長約7メートル、赤や青など色とりどりだ。川辺で5歳と1歳の息子を遊ばせていた小島由美子さん(32)は「去年は開催されなかったので待ち遠しかった」と笑顔を見せた。今年は市からの要請で、出店は取りやめ、子どもが触れない場所にこいのぼりをつるすなどの対策を行い、開催にこぎつけた。

 「殺風景な加茂の町に、こいのぼりでもかけようか」。こいのぼりが空に舞うようになったのは、近所の仲間の飲み会がきっかけだった。メンバーの1人、青木義機(よしき)さん(76)は「工場に通勤する人が通り過ぎるだけの町だった」と振り返る。青木さんたちは繊維産業が盛んだった群馬県館林市に向かい、まず、約50匹を購入。寄付も呼びかけ、今年は200〜300匹が集まった。「これだけの数を送ってくれることが幸せなんよ」とかみしめるように語る。

 だが、喜んでばかりはいられない事情もある。これまでは青木さんが勤め先のワイヤ製造会社で培った熟練の技を生かし、こいのぼりをぶら下げるワイヤ作りを一手に担っていた。ところが、昨年1月に脳梗塞(こうそく)で倒れ、手や足にまひが残る。ワイヤ作りは1本あたり6〜7時間かかり、重労働だという。

 青木さんが倒れたことをきっかけに、ワイヤ作りに携わるようになった加茂市の永山光夫さん(42)は強力な助っ人だ。ただ「技術の習得にはまだ3年はかかりそう」という。青木さんは「まだ来年は挑戦したい」と話し、地域の力を合わせて続けていきたいと考えている。(友永翔大)