サッカー女子・アルビレックス新潟レディース(新潟L)が、来秋に開幕する日本初の女子プロサッカーリーグ「WE(ウィー)リーグ」に参入する。今季数人にとどまるプロ契約選手は大幅に増える見込みで、クラブのかじ取りの手腕が問われる。経営と現場の両トップに現状と展望を聞いた。(高浜行人)

 「クラブの評価が上がり、選手や子どもにプレーしたいと思ってもらえる。ファンを増やすチャンスでもある」。山本英明社長(47)は、WEリーグ参入のメリットを強調する。力を入れている選手の学校訪問といった活動に加え、SNSなど各メディアへの露出増に取り組み、試合のテレビ中継も目指すという。

 クラブはアルビレックス新潟の女子部門として2002年に発足。利益が出る試合は少なく、単独の収支はマイナスが続いてきた。19年に分社した際、3年間で黒字にする計画を立てた。約20社だったパートナー企業(スポンサー)はこの2年で約60社に増え、会費制のサポートメンバーも約1千口に達した。減少傾向だったホーム戦の観客数も持ち直しつつあり、プロ化は、黒字化へのさらなる弾みになるとみる。

 課題もある。現在25人の所属選手は社会人や大学生が多く、競技に専念するプロ契約選手は数人。来季の契約はこれからだが、リーグの基準で「プロは最低15人以上、年俸を最低270万円以上」とされ、支出は大きく増える見込みだ。リーグからの分配金もあるが、補えるほどの額ではない。

 リーグは、平均観客数を昨季の4倍ほどの5千人以上にする目標を掲げる。実現すれば1試合数百万円の利益が見込めるが、新潟Lで実現するには「かなりの時間が必要」(山本社長)。当面、パートナー企業やサポートメンバーなどとの関係づくりに注力するという。「女子選手ならではの魅力を伝え、女性活躍を目指すクラブの価値に賛同してもらうしかない」

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 新たなリーグでどう戦うか。奥山達之監督(44)は、最初の数年を土台作りの期間と位置づける。「まずは強化を優先するより、選手のメンタル面の構築も含めた、クラブの態勢作りに力を入れたい」

 練習はいま平日午後5時から。プロ契約選手が増えれば昼間にも練習に参加しやすくなるが、加われない選手も出てくるため、メニューは限られる。「士気は上がると思うが、すぐに強くなるかというと別の話」。将来を考えて仕事も大事にしている社会人選手も少なくなく、プロ化に向けては慎重な協議が必要という。

 「もちろんプロである以上、優勝を目指さなければならない」と話すが、そもそも男子とは違い、勝つことだけでは大幅な集客増につながらない現実がある。「選手を商品化するだけでなく、サポーターとの距離の近さや、あきらめないひたむきさをプレーで表現することを今後も大事にしていきたい」と話す。

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 新潟Lは21日、なでしこリーグ1部の最終戦で神戸に0―2で敗れ、今季を終えた。対戦成績は8勝7敗3引き分けの5位。計19得点は最多チームの半分以下にとどまったが、計17失点は全10チーム中、最少だった。

 全18試合に先発したDF北川ひかる(23)は今季について、「本当にまとまりがあるチームで、守備を粘り強くやれたのは成果」と振り返った。

 元日本代表主将のMF川村優理(31)は「失点は抑えられたが、大事な試合をものにできなかったのは自分たちの弱さ」。WEリーグは「楽しみ」としながらも、「サポーターやスポンサーの評価も変わり、責任が増えると思う。常に高い意識を持ってやっていかないといけない」と話した。

 チームは今月末に開幕する皇后杯に出場。来月6日、福井県で初戦がある。

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 WEリーグ 女子サッカーの普及や強化のため、日本サッカー協会が現在トップのなでしこリーグの上部リーグとして設立。新潟Lを含めなでしこから9、新設2の計11クラブが参入。来年2月からのプレシーズン大会を経て、9月から翌年にまたがって開かれる。