【2017年7月24日 NASA】

NASAが資金提供をして今年2月に始まった「Backyard Worlds: Planet 9(BW)」は、太陽系の第9惑星と褐色矮星を探しを目的にした一般市民参加型プロジェクトである。

同プロジェクトでは、NASAの赤外線天文衛星「WISE」の赤外線観測データから作成されたコマ撮り動画を人間の眼で見て移動する光点(候補天体)を確認するという方法で、すでに117個の褐色矮星候補が発見されている。移動する光点を見つけるデータ処理自体はコンピューターでも可能だが、ノイズの影響などを判断して本当の天体候補を見つけるのは人間の目のほうが向いているのだ。

BWプロジェクトのウェブサイト上で公開されているデータには、インターネットを通じて世界中の誰でもアクセスできる。少人数の目では見落とされる可能性がある情報も、多くの参加者のチェックによって拾い上げることができる。「データを一般公開したほうが第9惑星探しが上手く進むと考えたのです。その過程でたくさんの褐色矮星も見つかるでしょう」(米・NASAゴダード宇宙飛行センター Marc Kuchnerさん)。

BWプロジェクト開始直後から参加している市民科学者のRosa Castroさんは3か月前のある晩、動画に次々に目を通して他とは異なる移動する天体を見つけ出し、北斗七星の近くに位置する褐色矮星「WISEA J110125.95+540052.8」発見者4人のうちの1人となった。これは同プロジェクト初の成果である。

WISEA J110125.95+540052.8
BWプロジェクトのコマ撮り動画にとらえられた「WISEA J110125.95+540052.8」(提供:NASA/WISE)

「この天体が特別なのは、発見された方法とその異常な暗さにあります。このことは、市民科学者がこれまでの誰よりも深い探究を行っていることを意味しています」(米・アリゾナ州立大学 Adam Schneiderさん)。

BWプロジェクトにおける究極の目標の一つは、褐色矮星の中でも最も小さく低温で暗い天体であるY型星を発見することだ。Y型星のうちいくつかは、太陽に最も近い恒星プロキシマケンタウリよりも近いところに潜んでいるかもしれないと考えられている。「とてもかすかな天体の姿を画像から引き出すにはかなりの作業を要しますが、このプロジェクトは発見の大きな手助けになります。様々な人がデータを見ることで、予期せぬ発見につながる独自の視点が得られるのです」(米・カリフォルニア大学サンディエゴ校 Adam Burgasserさん)。

太陽、低質量星、褐色矮星、木星の大きさ比較
太陽、低質量星、褐色矮星、木星の大きさを比較したイラスト(提供:NASA's Goddard Space Flight Center)