【2017年7月25日 NASA】

宇宙線とは光速に近い速度で運動する高エネルギー粒子のことで、その約90%は陽子である。宇宙線の進路は銀河中を飛び交ううちに磁場の影響で変わってしまうため、その起源をたどることはできないが、宇宙線が物質と作用してガンマ線を放射する際に情報を得ることができる。

ガンマ線で見た全天図
「フェルミ」によるガンマ線で見た全天図。天の川の銀河面、明るいパルサー、超大質量ブラックホールからの明るい放射がとらえられている(提供:NASA/DOE/International LAT Team)

2016年3月に国際研究チームは、アフリカ南西部ナミビアに設置されたヘス望遠鏡による10年以上にわたる天の川銀河の中心領域の観測から、ガンマ線を伴った非常に激しい活動を明らかにした(参照:「天の川銀河の中心から届く、超高エネルギー宇宙線」)。拡散したガンマ線のエネルギーは50兆電子ボルトにまで達している。

ヘス望遠鏡
ヘス望遠鏡(提供:H.E.S.S., MPIK/Christian Foehr)

オランダ・アムステルダム大学のDaniele Gaggeroさんたちが今月発表した分析結果は、NASAのガンマ線天文衛星「フェルミ」による低エネルギーのガンマ線観測データとヘス望遠鏡による高エネルギー観測のデータを合わせたもので、エネルギー幅が数百倍にもわたる銀河中心部の連続ガンマ線スペクトルが得られている。

「明るい光源を差し引くと、フェルミとヘス望遠鏡のデータはよく一致しています。観測手法や観測エネルギー域が異なる両望遠鏡の結果が一致しているのには、少し驚きました」(スペイン・理論物理研究所 Marco Taosoさん)。この一致は、銀河中心から観測されたガンマ線が天の川銀河内の他の領域で発見される宇宙線を起源としていることを示している。

一方で、1000兆電子ボルトに達するほどの最も高いエネルギーを持つ粒子の動きは、銀河中心領域では銀河内の他の領域よりも非効率的になる。これらの粒子から生じた最高エネルギーのガンマ線がヘス望遠鏡で観測されたものだ。

「天の川銀河の最も内側の領域にある宇宙線、特に最もエネルギーの高い宇宙線の大半が、銀河中心の向こう側の活発な領域で生成され、その後に銀河中心のガス雲との相互作用で減速するのだと考えられます。フェルミとヘスが観測したガンマ線放射の多くは、その相互作用で生成されたものでしょう」(Gaggeroさん)。