【2017年8月1日 NASA JPL】

NASAの土星探査機「カッシーニ」は、4月26日に始まったミッション「グランドフィナーレ」を遂行中だ。このミッションでカッシーニは土星本体と環の間を潜り抜ける飛行を22回行い、最後は9月15日に土星の大気に突入して20年にわたる探査を終了する。「グランドフィナーレの観測データはまだ分析の途中ですが、期待通りのエキサイティングなものです」(カッシーニ・プロジェクト・サイエンティスト Linda Spilkerさん)。

4月26日に撮影した土星
4月26日に「カッシーニ」が初めて土星本体と環との間を飛行した際にとらえた「麺のモザイク」。北極(左上)から北緯18度まで南下しながら撮影した137枚を合成して作成(提供:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute/Hampton University)

カッシーニが土星本体に大接近して取得したデータから、土星の磁場の傾きが極めて小さく、驚くほど土星の自転軸と揃っているらしいことが明らかになった。惑星の磁場は惑星内部の奥深いところにある液体金属内に流れる電流を維持するために、ある程度の傾きが必要と考えられているが、その理論と反する結果である。磁場が傾いていると惑星内部の揺らぎが観測でき、土星の一日の長さを明らかにすることができるのだが、これも難しい。

「傾きはこれまでの予測よりはるかに小さいとみられ、その説明はかなり難しそうです。土星の一日の長さはまだ決定できておらず、私たちは現在もその課題に取り組んでいます」(英・インペリアル・カレッジ・ロンドン Michele Doughertyさん)。Doughertyさんたちは土星の奥深くにある大気によって内部の磁場が隠されていると考えており、今後もデータの収集と分析を続けるという。

また、重力場に関するデータの初期分析では土星内部に関する代表的なモデルの一部と相反する結果が出ており、惑星の構造に関する予想外の事柄が未発見である可能性が示唆されている。

カッシーニはグランドフィナーレで史上初めてナノメートルサイズの環の粒子を取得しており、環の組成や構造に関する新たな情報が得られると期待されている。土星大気の最外層部分の調査からも重要なデータが得られるだろう。

環の画像からも興味深い模様が見つかっている。その一つが、C環に見られる「プラトー」と呼ばれる明るい帯の領域だ。プラトーには筋状の模様が見られるが、隣接する領域はボコボコしているか、または模様が存在せず、プラトーとはっきりと異なっている。プラトーの成因や構成粒子の違いを探る手掛かりが今後わかってくることも期待される。

プラトー
土星のC環に存在する筋状の明るい模様「プラトーP1」(提供:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)