【2017年8月8日 NASA/ヨーロッパ宇宙機関】

地震学者が地球の内部を伝わる地震の波を利用して地球の構造を研究するように、太陽物理学者は太陽の内部を動く波を研究する「日震学」で太陽の内部構造を調べる。

太陽の内部構造のうち、核の回転を研究する上では、浮力が復元力として作用する流体の波「g波(gモード振動、重力波/ブラックホールの合体などで生じる重力波とは別のもの)」が鍵だと考えられてきたが、太陽の表面には低周波である重力波のはっきりした痕跡は見られないことから、その発見は難しい。逆に高周波である音波(圧力波またはp波とも言う)の検出は容易だが、そこから太陽の核がどのように回転しているのかに関する情報は得られない。

「これまでに研究されてきた太陽の振動は、すべて音波です。しかし、太陽には海の波のように上下や水平方向へ動く重力波があるはずで、私たちは過去40年間にわたりそれを探し続けてきました。初期にはその検出が示唆されたものの、決定的ではありませんでした。しかし、ついにその痕跡を明確に抽出する方法を発見しました」(仏・コートダジュール天文台 Eric Fossatさん)。

Ericさんたちは太陽観測衛星「SOHO」に搭載されている低周波全球振動計「GOLF」が取得してきた16年半のデータを調べ、pモード(p波)上にgモード振動の跡を見つけることに成功した。解析結果によると、g波の痕跡は太陽核が1週間に1回自転していることを示唆している。極域で35日、赤道域で25日の周期で自転する太陽の表面や中間層より、核の自転速度は約4倍も速いことになる。

太陽の内部のイラスト
太陽の内部のイラスト。左上から、彩層、光球、対流層、放射層、核。右上から、pモード、gモード(提供:ESA; (Sun's chromosphere image based on SOHO image; credit: SOHO (ESA & NASA)))

太陽の核の速い自転が明らかになったことで、新しい疑問も生まれている。回転速度の異なる層がどのように相互作用するのか、速い回転周期がどんな太陽核の組成を物語っているのか、恒星の進化において、また核で起こっている熱核融合の過程において、それがどんな意味を持っているのか、などだ。

「他の恒星ではg波は検出されていましたが、SOHOのおかげで、ついに太陽におけるg波の説得力のある証拠を発見できました。太陽内部を見通して、間接的に自転速度がわかるのは、とても特別なことです。数十年も続いてきたg波探しが終わり、太陽物理の新しい時代が始まります」(Ericさん)。