【2019年1月25日 NASA JPL(1)/(2)】

NASAの土星探査機「カッシーニ」は2017年9月に土星大気に突入してミッションを終了したが、13年以上に及んだ探査で得られたデータの解析は現在も続けられている。

カッシーニ
土星の環の面を通過する探査機「カッシーニ」の想像図(提供:NASA/JPL-Caltech)

伊・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のLuciano Iessさんたちの研究チームは、土星の環の質量が小さければ環の年齢は若いという過去の研究をもとに、土星本体の質量と環の質量を割り出した。Iessさんたちは、カッシーニと、1980年代初めに土星を探査した「ボイジャー」がそれぞれ取得したデータを利用して、従来より高い精度で環の質量を見積もり、そこから環の年齢をより正確に推測した。

その結果によると、土星の環は今から1000万年前から1億年前までの間に形成されたという。土星本体が形成されたのは他の惑星と同じく約45億年前なので、環は本体よりもずっと後になってから形成された若い構造である可能性が示されたことになる。土星の環の元となっているのは、土星に近づいてばらばらになった彗星や破壊された氷衛星であるという理論を支持する結果だ。

「カッシーニが最後のミッション『グランドフィナーレ』で、土星のすぐ近くを通り本体と環の間を何度も通り抜けるという探査を行ったおかげで、新発見につながるデータが得られました」(Iessさん)。

また、土星の赤道付近の大気の自転速度は最外層から深さ約9000km(半径の15%ほど)のところで中心核の自転と同期していること、つまり中心よりも高速で自転する大気が比較的深いところから存在していることや、核の質量が地球の15〜18倍であることも示された。いずれも、カッシーニが「グランドフィナーレ」ミッションで土星本体に大接近したことにより得られたデータからの成果である。

一方、環の観測からは、土星の自転周期に関する研究成果も発表されている。米・カリフォルニア大学サンタクルーズ校のChristopher Mankovichさんは土星の自転周期が10時間33分38秒であることを明らかにした。ボイジャーの観測データからは10時間39分23秒、カッシーニの観測データからは10時間36分から10時間48分と見積もられていたが、それよりも数分早いということになる。

土星はガス惑星であるため表面の地形を参照して自転周期を測ることはできない。木星のように自転軸と磁軸(磁場の軸)がずれていれば、磁軸の動きで発生する周期的な信号を測定して自転を調べられるが、土星の磁軸は自転軸とほぼ一致しているため、この方法も難しい。

そこで利用されたのが土星の環だ。土星本体の内部の振動の影響が、地震計のように環に現れるので、環の観測から土星内部の動きと自転周期を調べることが可能となる。こうしたアイディアは1982年には提案されていたが、カッシーニの観測によってようやく実現した。