【2020年7月20日 VSOLJニュース】

著者:前原裕之さん(国立天文台)

天の川の方向に見えるいて座には、これまでも多数の新星が発見されており、今年に入ってからだけでも2つの新星が発見されています。そのいて座の中に、今年3個目となる新たな新星が発見されました。

新星を発見したのは香川県観音寺市の藤川繁久さんです。藤川さんは7月16.519日(世界時、以下同。日本時では21時28分ごろ)に焦点距離120mmのレンズとCCDカメラを用いて撮影した画像からいて座の中に9.9等の新天体を発見しました。この天体は千葉県の清田誠一郎さんや山口県の吉本勝己さんたちによって確認されたほか、オーストラリアのJ. Seachさんによると、発見の前日の7月15.381日にはすでに9.5等に増光していたことが報告されました。確認観測によるとこの天体の詳細な位置は以下のとおりです。


赤経 17h58m08.46s
赤緯 -30°05′35.3″(2000年分点)

確認観測画像
確認観測画像(撮影:吉本さん)

いて座の新星の位置
いて座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

7月16.97日にはこの天体の分光観測が口径10mの南アフリカ大型望遠鏡(SALT)で行われました。その結果、この天体のスペクトルには幅の広い水素のバルマー系列の輝線の他、中性酸素や1階電離した鉄、中性ナトリウムの輝線が見られ、Hα輝線の幅は秒速4500kmにも広がっていることがわかりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明しました。

vsolj-obsなどに報告された観測結果によると、7月17日には10等台まで暗くなっています。分光観測の結果からは、新星爆発による膨張速度が大きく、急速に減光するタイプの新星であることが示唆されます。今後の減光の様子が注目されます。

藤川さんの新天体発見は昨年8月以来となります。