【2020年8月4日 アルマ望遠鏡】

超新星1987Aは1987年2月23日に、天の川銀河から16万光年の距離にある矮小銀河「大マゼラン雲」の中で出現した。この超新星爆発は質量が大きな恒星が寿命を迎えて起こしたものだと考えられていて、そのあとには高密度天体である中性子星が残された可能性が高い。日本の実験装置「カミオカンデ」が超新星1987Aに伴うニュートリノを検出したことからも、ブラックホールではなく中性子星が作られたのは確かだと考えられている。そのため、超新星1987Aの出現以降、中性子星探しが行われてきたが、その確かな証拠はまだ見つかっていない。

2014年にアルマ望遠鏡による観測で、超新星残骸の中心部には大量の塵が存在することが判明した(参考:「超新星爆発で作られた大量の固体微粒子を直接観測」)。英・カーディフ大学のPhil Ciganさんと松浦美香子さんたちの研究チームは、この塵をアルマ望遠鏡を使ってより高い解像度で観測した。

その結果、超新星1987Aの中心近くに温度の高い塵の集まりが見つかり、その場所が中性子星の位置として想定されている場所と一致することがわかった。塵が温まって電波を出しているということは、熱源である中性子星がその中に隠れていると考えられる。ただし、塵の輝きが中性子星によるものとしては明るいという疑問点もあった。

塵の集まり
(左)アルマ望遠鏡による超高解像度観測から発見された、周囲より温度の高い塵の集まり。(右)(赤)アルマ望遠鏡が電波でとらえた冷たいガスと塵の分布、(緑)ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した可視光線、(青)X線天文衛星「チャンドラ」がとらえたX線の広がり。リング状の構造は超新星爆発によって生じた衝撃波が宇宙空間を進み、周囲の物質と衝突しながら広がっている様子を示す(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), P. Cigan and R. Indebetouw; NRAO/AUI/NSF, B. Saxton; NASA/ESA)

この疑問に対して、メキシコ国立自治大学のDany Pageさんたちは理論研究で、誕生直後の中性子星であれば観測される明るさに達することが可能であることを示した。中性子星によって塵のかたまりが加熱されているという解釈を支持する結果である。

超新星爆発のシミュレーションでは、爆発によって中性子星が秒速数百kmもの速度ではじき出されることが予測されている。実際に、アルマ望遠鏡で観測された温かい塵の塊は、周囲のリングの中心よりわずかにずれた位置にあり、爆発から30年あまりのうちに中性子星が高速で移動したという予測と合致する。また、温度に関しては、超新星爆発から間もない時期の中性子星の温度は500万度と予測されており、観測で推測される塵の温度を説明するには十分だ。

超新星1987Aのあとに本当に中性子星が残されているのだとすれば、その年齢はわずか33歳で、これまでに発見された中で最も若い中性子星ということになる。中性子星を直接観測できるようになれば研究の正しさが確実に証明できるが、超新星残骸の塵やガスが晴れ上がるには、まだ数十年かかると考えられている。