【2022年1月6日 アストロバイオロジーセンター】

太陽以外の恒星の周りを回る系外惑星はこれまでに5000個近く見つかっているが、その一方で恒星に属さない「浮遊惑星」も存在することが、2000年ごろから明らかになってきた。浮遊惑星は質量が木星の13倍以下で、誕生してから一度も核融合を起こさないため、非常に暗い。間接的な検出によって多数の浮遊惑星が存在することは示唆されているが(参照:「惑星の多くは一人ぼっち?主星を持たない系外惑星を発見」)、画像として直接とらえた例は少ない。

浮遊惑星の想像図
浮遊惑星の想像図(提供:ESO/M. Kornmesser)

仏・ボルドー大学のNúria Miret-Roigさんをはじめとする国際研究チームは、さそり座からへびつかい座にかけて約171平方度の天域に広がる星形成領域に着目した。ここではアンタレスに代表される大質量星から太陽より軽い小質量星までが集団で生まれているため、様々な星やその集団の形成について詳しく調べることができる。なおかつ、そのような星形成領域としては地球に最も近いものの一つだ。

これまでに研究チームは、すばる望遠鏡などで過去20年間に撮影された可視光線および赤外線の画像約8万枚を集約し、2600万天体の位置、明るさ、固有運動を含むカタログを作っている。これに位置天文衛星「ガイア」および「ヒッパルコス」の観測データを組み合わせた結果、星形成領域で検出されている天体のうち少なくとも70個、最大で170個が浮遊惑星であると判明した。一つの領域でこれだけ多くの浮遊惑星が見つかるのは初めてのことだ。

浮遊惑星と考えられる天体の位置
今回発見された浮遊惑星と考えられる天体の位置(赤い円)(提供:ESO/N. Risinger (skysurvey.org))

これらの浮遊惑星は、生まれたときから恒星に属さず孤立していたのだろうか。この疑問を解くため、Miret-Roigさんたちはこの領域に存在する星の質量の分布を調べた。分子雲が収縮して天体が形成されるとき、どのような質量の星がどのような頻度で誕生するかにはある程度の法則があり、それを説明する理論モデルもある。今回の領域についてモデルと比較したところ、理論的に誕生しうる浮遊惑星の数は今回見つかった数よりも少ないことがわかった。

これは、浮遊惑星たちの一部は恒星のように分子雲から直接誕生したのではないことを意味する結果だ。浮遊惑星も最初は通常の惑星のように若い恒星を取り巻く原始惑星系円盤の中で誕生し、惑星同士の重力散乱などにより放出されて浮遊するようになったのだと考えられる。

(Youtube動画)

発見された若い浮遊惑星のイメージを描いた動画「Young Free Floating Planets in their parent nebula」(提供:Hervé Bouy (University of Bordeaux), Teun van der Zalm and the COSMIC-DANCE team)