【2022年4月27日 国立天文台/ヨーロッパ宇宙機関】

5000個以上の系外惑星が知られている現在、この分野の研究ではただ新しい惑星を発見するだけでなく、検出された惑星の特徴を調べることが重視されている。ただ、系外惑星の特徴に関する研究は、単独または少数の惑星のみに焦点を当てがちだ。

これに対して、英・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのQuentin Changeatさんたちの研究チームはハッブル宇宙望遠鏡と赤外線天文衛星スピッツァーによる系外惑星の観測データを分析し、集団としての系統的な性質を調べた。

Changeatさんたちが選んだ25個の惑星は全てホットジュピター(恒星のすぐ近くを回る巨大ガス惑星)で、地球から見て惑星が中心星の後ろに隠れる「2次食」が起こっている。この2次食時の光度変化から、各惑星の大気に含まれる成分や温度を調べ、系外惑星の大気に関する全般的な問いに答えることが研究の主題だ。

惑星による中心星の食の概念図
地球から見て公転軌道が横向きの系外惑星が中心の恒星と隠し合う様子(左)と、そのときの見かけの明るさの変化(右)。惑星が中心星の前を通過する現象を1次食(図中の2番)、惑星が中心星の後方に隠れる現象を2次食(図中の5番)という(提供:国立天文台 科学研究部リリース)

Changeatさんたちが取り組んだ課題の一つが、系外惑星の大気の温度が上空に行くほど高くなる現象である。このような温度逆転は観測された系外惑星の半数以上で起こっていたが、いずれの大気も絶対温度2000度を超えていた。これほどの高温では金属の酸化物や水素化物が気体となって大気上層に漂うが、実際に酸化チタン、酸化バナジウム、水素化鉄、水素負イオンが検出されている。こうした金属化合物は恒星からの光を吸収しやすいため、そこだけ気温が上昇し、温度逆転の原因となっているようだ。

また、比較的低温の大気を持つ惑星では、水が検出される場合とされない場合があった。水が検出されなかったケースでは、大気が炭素を比較的多く含むために、化学的に水が生成されないことが示唆された。その他、これまでに個々の惑星の特徴から示唆されていた内容について、惑星集団の特徴付けから検証あるいは反証することができた。

多様な大気を持つホットジュピターのイメージイラスト
多様な大気を持つホットジュピターのイメージイラスト(提供:ESA/Hubble, N. Bartmann)

「地球上の水の起源、月の形成、地球と火星の異なる進化の歴史など、個々の天体を直接測定できるにもかかわらず未解決の問題が数多く残されています。私たちが今回発表したような系外惑星の大規模な集団調査は、そうしたプロセスを一般化して理解することを目指しています」(Changeatさん)。

(Youtube動画)

研究紹介動画「Hubble Helps Answer Key Exoplanet Questions」(提供:HubbleESA)