【2022年11月17日 NASA】

11月16日15時47分(日本時間、以下同)、NASAの新型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」の初号機が米・フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。SLSには無人の宇宙船「オリオン(Orion、オライオンとも)」が搭載されており、NASAが主導する月面有人探査国際プロジェクト「アルテミス計画」の初ミッション「アルテミスI」として月への飛行試験に臨む。

SLSロケット初号機の打ち上げ
SLSロケット初号機の打ち上げ(提供:NASA/Bill Ingalls)

ロケットは順調に高度を上げ、各段を切り離しながら月へと針路を取ると、打ち上げから1時間54分後にオリオンを切り離した。オリオンは11月21日に月から数万km程度の距離まで近づいた後、12月11日に地球へ帰還する予定だ。

「SLSロケットとオリオン宇宙船が初めて一体となって打ち上げられるのは、なんと素晴らしい光景でしょう。この無人飛行試験では、はるかな宇宙の厳しい環境の中でオリオンの限界が試されます。そうすることで月、さらに最終的には火星への有人探査の準備に貢献することでしょう」(NASA長官 Bill Nelsonさん)。

アルテミスIの打ち上げは当初8月29日に予定されていたが、技術上の問題や天候不順などにより3回の延期を繰り返している。16日の打ち上げにおいても、推進剤の充填を開始後に液体水素漏れが確認されたため、当初の予定から43分遅れでの発射となった。

(Youtube動画)

打ち上げ中継の録画「Artemis I Launch to the Moon (Official NASA Broadcast) - Nov. 16, 2022」(提供:NASA)

SLS初号機には10機のキューブサットが相乗りしている。そのうちの2機は、JAXAや東京大学が中心となって開発した超小型深宇宙探査機「EQUULEUS(エクレウス)」と月面着陸機「OMOTENASHI(オモテナシ)」だ。SLSから分離された「エクレウス」は正常に動作していることが16日22時50分ごろに確認された。一方、「オモテナシ」は太陽捕捉が完了せず通信が安定していないため、電力の確保や通信の確立に向けた運用が続けられている。

「エクレウス(EQUULEUS;EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft)」は水を推進剤に使用し、複数回の月スイングバイを行って半年から1年程度以上かけて、地球・月系のラグランジュ点(地球から見て月の裏側となるL2点)へと航行する。

「オモテナシ」は世界最小の月着陸機で、月面へのセミハードランディング技術の実証を目的としている。予定では月面着陸時には秒速50mに達して1万Gの衝撃が生じるが、これに耐えて無事着陸時のデータが地球で受信されれば、世界最小の月面着陸機による日本初の月面着陸の成功となる。また、各衛星は線量計や撮像装置なども搭載しており、科学観測も予定されている。