【2022年11月24日 NASA Blog/JAXA(1)/(2)/NASA】

《宇宙船「オリオン」、月に到着》

11月16日、新型ロケット「SLS(スペースローンチシステム)」で月に向かう無人宇宙船「オリオン」が打ち上げられ、「アルテミス計画」が始動した。

順調に飛行を続けたオリオン宇宙船は21日に、月の裏側で月面へ約130kmまで接近した。25日にはオリオンはエンジンを噴射して月の公転方向と逆行する軌道「DRO」(Distant Retrograde Orbit、遠方逆行軌道)」へ入り、1週間ほど月の周りを飛行する。DROは安定性が高く、推進剤の消費を抑えて試験を行えるというメリットがある。オリオンは12月2日にDROを離脱し、12日に地球帰還の予定である。

オリオンと月
11月21日に「オリオン」の太陽電池パネルの先端に取り付けられたカメラを使って撮影した画像。月の裏側の一部も写っている(提供:NASA)

《日本の探査機「エクレウス」と月面着陸機「オモテナシ」》

16日にオリオンと一緒に打ち上げられた日本の超小型深宇宙探査機「EQUULEUS(エクレウス)」は、22日に実施した月フライバイで月面から約5550kmの距離を飛行した。運用チームでは、エクレウスが目指す地球・月系のラグランジュ点「L2」へ向かう目標経路へ探査機をを精密に誘導できたか確認作業を進めている。

エクレウスが撮影した月の裏側の昼夜境界線
(左)22日に「エクレウス」が月フライバイの際に撮影した月の裏側の昼夜境界線。(右)月の画像に撮影された領域(四角内)と領域内の地形の名称を示したもの。画像クリックで拡大表示(提供:EQUULEUS Project Team, JAXA)

一方、オリオン、エクレウスと共に打ち上げられた月面着陸機「OMOTENASHI(オモテナシ)」は、ロケットから分離後に通信が確立できなくなってしまった。月に最接近する22日1時ごろまで復旧が試みられたが回復せず、月着陸運用は果たせなかった。今後も復旧作業が続けられ、地球磁気圏外の放射線計測や探査機の技術実証が行われる予定だ。

《月周回有人拠点「ゲートウェイ」での日本の役割》

長期月探査プログラムであるアルテミス計画では、2025年以降に月面に人類を送る予定である。さらにその後は月周回有人拠点「ゲートウェイ」計画において、月に物資を運んで月面拠点を建設し、人類の持続的な月面活動を実現する予定となっている。

11月18日、日本政府とNASAとの間で「月周回有人拠点『ゲートウェイ』のための協力に関する実施取決め」が署名された。これにより、JAXAの宇宙飛行士1名がゲートウェイに滞在することが正式に認められた。またJAXAはゲートウェイにおいて、生命維持能力の中心となる国際居住棟(I-HAB)のサブシステムである環境制御・生命維持装置の開発と提供、ミニ居住棟(HALO)と通信・燃料補給・観測窓モジュール(ESPRIT)へバッテリーの供給、新型補給船「HTV-XG」による補給ミッションの実施といった重要な役割を担う。