2019年から、全日本スーパーフォーミュラ選手権と併催されている、TCRジャパンシリーズ。WTCR世界ツーリングカーカップを頂点に、世界中で開催されているツーリングカー規定のTCRを用いた新たなシリーズだが、ここまで非常にエキサイティングなレースが展開され、エントラントにも好評だ。そのシリーズで使用される車両を、1台ずつご紹介しよう。今回は、多くのアルフィスタにとって待望と言えるレーシングカー、アルファロメオ・ジュリエッタTCRだ。

 アルファロメオのモータースポーツ活動と言えば、2018年からF1にその名が復活しているが、多くのインパクトを残しているのは草創期のF1、そして1990年代の155によるツーリングカーの活動ではないだろうか。強烈な成績を残したクラス1規定のDTMに登場した155 V6 TI、クラス2規定に登場した155 TS、さらにはWTCC黎明期に登場した156 GTAなど、ツーリングカー好きの印象に残るマシンは多い。

 そんなアルファロメオのなかで、現行車種であるジュリエッタをベースに製作されたTCR規定ツーリングカーがジュリエッタTCR。2019年からスタートしたTCRジャパンシリーズにも、前嶋秀司とMototinoが駆る2台が登場。第2戦SUGOのサンデーシリーズで、前嶋が初勝利を挙げた。

 ジュリエッタTCRは、イタリアはミラノに本拠を置くチューニング/レーシングチームを手がけるロメオ・フェラーリスが開発・販売を手がけている。ジュリエッタをベースに前後バンパーやフェンダー等をグラスファイバーで仕上げ、1150kgという軽量なマシンとなっている。TCRにはBoPもあるが、この軽量さがジュリエッタの武器となっているというのは前嶋だ。

「TCRジャパンシリーズだけで考えると、軽いし旋回スピードが上がっています。ストレートでは、排気量が少ない分不利なところはありますが、乗りやすさと旋回の速さが武器になっています」とさまざまなレーシングカーをドライブしてきた前嶋はジュリエッタのポイントを教えてくれた。

「扱いやすいですし、速いレーシングカーですね。パドルシフトでターボで、本当に面白いです」

「レーシングカーというのは、いろんな人にとって飛び込みにくいものかもしれませんが、このTCRのマシンはある意味“誰でも乗れる”クルマです。アルファロメオも素材がいいので、何かアクシデントがあっても、追い上げて来られるポテンシャルがあるんです」

■“夢がある”ジュリエッタTCRでの参戦
 そんなジュリエッタTCRだが、ピレリスーパー耐久シリーズのST-TCRではホンダ、アウディ、フォルクスワーゲンの3車種がメインで、TCRジャパンでもその3車種が多数派だ。なぜGO&FUN Squadra CorseではジュリエッタTCRを選んだのかと言えば、実にシンプルな理由だった。

「我々はロメオ・フェラーリスの日本法人をやっておりまして、我々がジュリエッタTCRをインポートしているんです。今季、日本でTCRジャパン・シリーズが始まることもありましたし、昨年はWTCR鈴鹿でジュリエッタTCRが勝ちました(ケビン・チェコンがレース1で優勝)。そういう盛り上がりもあり、私たちも参戦を決めました」というのは、ロメオ・フェラーリス・ジャパンの髙橋誠輝代表だ。

「昨年まで日本ではアウディ、フォルクスワーゲン、それにシビックしかいない中で、こうしてジュリエッタTCRが出場するのはイタリア車好きにとってはすごく夢がある話ですし、前嶋選手のおかげもあって、こうして速さもみせられています。我々のように市販車も売っている側としては、すごくコンテンツとしていいものだと思います」

 前嶋や髙橋代表が語るとおり、ジュリエッタという車種でレースを戦えることは、アルファロメオをはじめとしたラテン車のファンにとっても大いに魅力的なものと言えそうだ。実際に、もう一台のジュリエッタTCRをドライブするMototinoも、全国各地で行われているアルファロメオ・チャレンジからのステップアップだという。

「アルファロメオ・チャレンジでチャンピオンを獲っても、“その先”が無かったんです。でも、こうしてTCRジャパンに、クルマを買って参戦することができる。その人たちにとってもいい目標になっているようですね」と髙橋代表。Mototinoはさまざまなチューンドのアルファをドライブしてきたが、「TCRは『すごく乗りやすい』とおっしゃっられています」とのこと。

「アルファロメオを好きな方というのは、根っからのクルマ好きの方が多いんです。そういった方たちから注目を浴びているのを感じています」と髙橋代表。ジュリエッタTCRが気になる方はぜひ問い合わせて欲しいところだ。