BMWのワークスドライバーを長年つとめ、WTCC世界ツーリングカー選手権やル・マン24時間、さらにニュルブルクリンク24時間レース等で活躍したヨルグ・ミューラー。2013年からはスーパーGTにも参戦を開始し、2017年までBMW Team StudieのレギュラードライバーとしてスーパーGTで4シーズンに渡って日本で活躍し、『ヨギー』の愛称で親しまれた。そんなミューラーに、近況を聞いた。

 だが、その後はBMWモータースポーツとのワークス契約が終了し、BMW Team StudieのスーパーGTでの活動も休止となってしまったことから、ミューラーは活動の拠点をヨーロッパへ戻していた。そんな“ヨギー”だが、ニュルブルクリンクで10月12日に開催されたVLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の第8戦が行われたピットロードで、ひさびさにその元気な姿をキャッチ。近況を本人に直撃してみた。

■現在の職業は“エンジニア”!
──しばらくご無沙汰ですが、お元気ですか?
ヨルグ・ミューラー(以下JM):日本のみなさん、こんにちは! おかげさまで元気にしているよ。またサーキットで仕事をすることになって嬉しいね。

──あなたの近況を教えてください。
JM:BMW M6 GT3を走らせているワーケンホルスト・モータースポーツの車両エンジニアとしての仕事がいまの私のメインの仕事だよ。チームマネージャーをしている長年の友人のニクラス・ケーニッヒバウワーから『エンジニアが突然辞めて困っている』と聞いて、エンジニアの経験はまったくないけれど、長年のレース経験が活かせるなら、と思い引き受けたんだ。

今日のVLN第8戦では、エンジニアとしての仕事は3戦目となるけれど、エンジニアの仕事は信じられないほどにやることがいっぱいあって、ドライバー時代とはまたまったく違った大きな挑戦だね。大きなやりがいとともに、この仕事をエンジョイしているよ。

──ワーケンホルストでは、VLN8だけでM6 GT3が2台、M4 GT4が1台、M240iレーシングカップが1台と、計4台のエントリーですが、すべての車両を担当しているのですか?
JM:私の通常の担当はM6 GT3の1台だけ。そのマシンはすでにIGTC(インターコンチネンタルGTチャレンジ)に向けて南アフリカへ発送してあるので、実は、今日は何もすることはないんだ。しかし、新米エンジニアとしてまだまだ勉強中の身だし、最初の2戦では自分が思うようにはレースを展開できなかったことを自覚したし、現場で学ぶべきことは多いから、今日は勉強のつもりでニュルへ来たよ。

──あなたはどこでエンジニアとしての知識を学んだのですか? ヨーロッパでは学位をもってエンジニアと称しますが……。
JM:私は大学には行っておらず、二輪のメカニックとして手に職をつけた。F3参戦時代は自分のマシンを自分で手入れしていたし、現場での“叩き上げ”で、ドライバーとなってからのプロのレースの実戦で学んだ部分が多いね。エンジニアとしてのさまざまなデータ収集をして、それを整理して集約する等、これらは少しずつ現場で実戦を通して学んでいるところだね。

──あなた自身がドライバー出身ということで、ドライバーへのアドバイザーとしての立場でもあるのですか?
JM:それは特にないね。私自身が長年ドライバーとして経験を積んだバックグラウンドがあり、それを今のエンジニアの仕事に活かせればと思っているよ。データ解析や、どうマシンを動かしていくのか、というドライバーからの視点はチームにとっても役立つのではないかと考えている。

■また日本のファンに会えることが楽しみ
──今後のあなたのスケジュールについて教えてください。
JM:スーパーGTでの活動を終えてのこの2年は、友人のジェントルマンドライバーの所有するZ4を一緒にドライブしたり、サポートするなど、ドライバーとしては少しゆっくりした時間を持ったので、そろそろ完全に本職のドライバー業で復帰するつもりで、来年の準備をすでに始めているよ。来年は上位に食い込めるようなトップレベルのマシンをドライブしたいね。そして、10月26日のVLNの最終戦にもエンジニアとしてこのニュルに来るよ。

──それでは最後に、あなたの再来日を心待ちにしている日本のファンへメッセージをお願いします。
JM:日本では本当に熱心なファンが支えてくれて、いつも熱く応援してくれたことを今も心から恋しく思うよ。日本で活動した素晴らしい時間、みんなと過ごしたひとときは私のキャリアの中でもかけがえのない大切な宝物だ。日本人のメンタリティ、そして美しい日本という国を愛して止まないよ。

今年はBMW Team Studieの応援のためにブランパンGTワールドチャレンジ・アジアへ行く計画を練っていたけれど、ちょうど多忙な時期と重なってしまって、残念ながら日本へは行けなかった。来年こそはまた富士山登山をしたいし、ファンのみんなに会いに行くのを楽しみにしているよ。

もちろん、BOBさん(BMW Team Studie鈴木康昭代表)とTeam Studieとタッグを組んで、またスーパーGTへ復活して走れる日が来ることを願っているよ。