新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入。年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から3戦が延期となってしまった。ただ開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第2回目は、GT300クラスのAudi Team Hitotsuyamaだ。

■Audi Team Hitotsuyama
マシン:Hitotsuyama Audi R8 LMS
ドライバー:クリストファー・ミース/川端伸太朗
カーナンバー:21
監督:鬼木秀和
タイヤ:ヨコハマ

 スーパーGTでも長い歴史を誇るAudi Team Hitotsuyamaは、1990年に創立された。チームオーナーの一ツ山幹雄、兄の一ツ山康の兄弟は、富士スピードウェイを中心に1970年代からレースを戦っていたが、本業である静岡県富士市の山一運輸倉庫の運営もあり、一時サーキットからは遠ざかっていた。

 しかし会社経営も落ち着き始めた1989年、ひさびさにサーキットに行った一ツ山幹雄オーナーは刺激を受け、1990年にHitotsuyama Racingを設立。当時大人気だった全日本ツーリングカー選手権(JTC)にBMW M3で参戦した。もちろんチーム名は“一ツ山”から来るものだ。

 その後チームはJTCC、そして1996年からはスーパーGTの前身であるJGTC全日本GT選手権に参戦。2000年からは、マクラーレンF1 GTRでGT500クラスにも挑戦した。さらにその後、FIA-GT仕様のフェラーリ550マラネロを導入。敢然と国内メーカーに立ち向かった。

 ジャパン・ル・マン・チャレンジへの挑戦を経て、リーマンショック時には一時活動を縮小する時期があったが、その頃を境にアウディとの関係ができはじめる。また現在チームを率いる一ツ山亮次代表が就任。スタイリッシュで多角的なチーム運営に切り替わり、2012年からはGT300クラスに復帰。GT300の強豪のひとつとして活躍している。

 そんなAudi Team Hitotsuyamaは、マクラーレン時代に76ルブリカンツのサポートを受けていた際に『76』を使用した時期はあるが、それ以外はずっとチーム創設以来、『21』がカーナンバーだ。この由来について一ツ山亮次代表に聞くと、「『21世紀』の意味なんです」という。

 チームは1990年創立だが、その際に「21世紀を目指してレースをしよう」という意気込みがあったのだとか。2020年にAudi Team Hitotsuyamaは30周年の記念すべき年を迎えたが、すでに21世紀も20年経っている。「いまは『21世紀を制覇しよう』というところですね」とのこと。

 ちなみに、近年チームは明るいグリーンのロゴマークを使用している。マシンにも描かれているので目にした方も多いとは思うが、これは上の四角が漢字の『一』を、下の『HITOTSUYAMA』と書かれている部分が『山』を示している。“一ツ山”を表したロゴなのだ。

 また本業の山一運輸倉庫では、この『一』と『山』が逆になったロゴが使われる。もちろん『山一』を示すもので、こちらはブルーがメインカラーだが、これは富士山の色なのだとか。いつもピットも車両もスタイリッシュで、成績とカッコ良さが両立するチームの一端が現れている。

 今季チームは30周年を記念して、1990年代に使っていたレッドのカラーリングをHitotsuyama Audi R8 LMSに復刻させた。さらに、30年記念ロゴも制作し、富士公式テストからマシンに貼られる予定だったが、残念ながら富士公式テストは延期となってしまった。チームからマシンに貼られた写真をいただいたのでお届けしておこう。

 2020年は体制も変更し、アウディファクトリードライバーのクリストファー・ミースと、若き川端伸太朗のコンビで岡山公式テストから速さをみせたHitotsuyama Audi R8 LMS。きっと30周年を祝う活躍をみせてくれるはずだ。