TCRオーストラリア・シリーズを運営するARG(Australian Racing Group)は、シリーズに参戦するチームとドライバーに向けた“スタンドアローン”の新たなeスポーツ選手権『TCR Australia SimRacing Series』の創設を発表。プラットフォームには世界的人気シミュレーターの『Assetto Corsa(アセットコルサ)』を採用し、あらゆるTCR規定ツーリングカーを再現した全7戦のバーチャル・シリーズを開催する。

 世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で、仮想空間での可能性を模索するモータースポーツ界だが、現実のF1オーストラリアGPとの併催で実施される予定だった開幕戦が急遽キャンセルとなった苦い経験を持つARGはいち早く方向転換を決め、4月から『ARG eSports Cup』と称したeスポーツ・シリーズを開催してきた。

 このバーチャル選手権は、ARGがオーストラリア国内で統括する人気シリーズを一同に集め、TCRオースラリアに加えて“豪州史上最速”を謳うシングルシーター選手権のS5000やV8ツーリング、トランザムなどに参戦するドライバーを対象としていた。しかし、採用するゲーミングプラットフォームの影響でTCR車両はアウディRS3 LMSのワンメイクとなり、苦肉の策として開催ラウンドによってダラーラ製F3を使用するなど、仮想空間らしい対策で乗り切ってきた。

 そのシーズン序盤戦はBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2017年チャンピオンであるアシュリー・サットンらが越境参戦し、毎戦40台越えのエントリーを集めるなどある程度の成功を収めたものの、やはり車種バラエティの壁を越えるのは難しく、ARGは改めてアセットコルサをプラットフォームに採用する新規eシリーズの立ち上げを決断。これにより、現実世界と同様のほぼ全車種が利用可能となり、TCRオーストラリア参戦中のレギュラードライバーにとっても、より実際の環境に即したシミュレーション環境で戦うことが可能となる。

 加えて、この『TCR Australia SimRacing Series』に設定された全7戦の開催サーキットには、キャンセルされた開幕戦アルバートパークを筆頭に、同国を代表するアイコニックな場所である“聖地”バサースト、マウントパノラマでのレースや、シドニー・モータースポーツパークにサンダウンといった象徴的トラックが用意された。

 ARGの代表を務めるマット・ブレイドは、この新eシリーズが「世界がいまだロックダウンされた状況のなかでも、カテゴリーの人気や知名度を手助けする有効な策になるだろう」と語っている。

「このTCR Australia SimRacing Seriesは、世界が封鎖された環境から脱却し始めるときに、オンラインレーシングのテーマを継続する素晴らしい方法のひとつになるだろう」と続けたブレイド。

「先行したARG eSports Cupは、そうした困難な期間中に素晴らしいイニシアチブを取った。そして今、我々はその経験を活用してTCRオーストラリアを国際的にアピールする場を創設することが可能となった」

「(TCR規定を統括する)WSCグループが定めたプログラムには、ほぼすべてのマニュファクチャラーが関与しており、TCRシリーズの実世界を素晴らしい精度で再現することができる。ARGとしても、このプラットフォーム上での競技に関して(TCRヨーロッパに続き)世界中から選出された2番目のシリーズであることを誇りに思っている」

 現実の2020年シーズンはすでに改訂版カレンダーが発表されており、8月15日のシドニー・モータースポーツパークで再開される予定だが、この『TCR Australia SimRacing Series』は6月18日(木)にアルバートパークで開幕し、最終戦は9月3日のマカオ、ギア・サーキットまで続くスケジュールとなっている。

■2020年TCR Australia SimRacing Seriesカレンダー
ラウンド 開催日 開催地
Rd.1 6月18日 アルバートパーク
Rd.2 7月2日 マウントパノラマ
Rd.3 7月16日 シドニー・モータースポーツパーク
Rd.4 7月30日 サーファーズ・パラダイス
Rd.5 8月6日 サンダウン
Rd.6 8月20日 アデレード
Rd.7 9月3日 マカオ・ギア