FIAは、2020年第10戦ロシアGPで、ドライバーたちがレース後の表彰式でレーシングスーツ以外を着用することを禁止すると通達した。メルセデスのルイス・ハミルトンが第9戦トスカーナGPの表彰台で警官による黒人女性殺害事件に抗議するメッセージを記したTシャツを着用し、問題視された。

 ムジェロでのトスカーナGPで優勝したハミルトンは、表彰台上で、『ブレオナ・テイラーを殺した警官たちを逮捕せよ』『彼女の名前を叫ぼう』と書かれた黒いTシャツを着用した。26歳の医療職に就くテイラーさんは、今年3月、ケンタッキー州ルイビルのアパート自室で私服警官に誤って射殺された。

 6度のF1世界チャンピオンであるハミルトンの行為は、FIAの競技規則に違反した可能性があるとの議論がなされたが、FIAは処分を下さなかった。

 しかしロシアGP日曜朝にFIA F1レースディレクターであるマイケル・マシはチームへの指示書を発表、表彰台ではジッパーを首まで上げた状態でレーシングスーツを着用しなければならないという新たなルールを示した。

「表彰台でのセレモニーおよびレース後のインタビューの間、1位から3位でレースをフィニッシュしたドライバーは、首元までジッパーを締めたドライビングスーツを着用し、腰回りまで下げてはならない。着用するものには医療用マスクもしくはチームブランドのフェイスマスクが含まれることを、誤解を避けるために確認する」と新たな指示書には記載されていた。

「テレビの取材やFIAのレース後の記者会見では、レースを終えたドライバーは全員それぞれのチームのユニフォームのみを着用すること」

 レース前の手順は変更されておらず、ドライバーたちはこれまでどおり人種差別撤廃を訴えるメッセージが入ったTシャツを着用する。

 ロシアGP前の木曜日、ハミルトンは、自分の抗議行為を受けてFIAが新たなガイドラインを発行することを予想していた。

「彼らとともに取り組みを継続していこうとしている」とハミルトンは語った。「僕が賛成するか反対するかは重要ではない。ただ共通の土台と、ともにどのように進めていけるかということを見つけようとしているんだ」
「彼らは本当に理解していると思うか? それは分からない。でもおそらくいずれは僕たち全員が理解に努めるようになるだろう」