MotoGP第11戦アラゴンGPではバレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が新型コロナウイルス陽性となり、週末のレースを欠場した。ライダーではサンマリノGP前に陽性反応が出て欠場を余儀なくされたMoto2クラスのホルヘ・マルティンに続いて2例目となる。

 また、Moto3ライダーのトニー・アルボリーノも、フランスGPを終えてイタリアに戻る飛行機で、アルボリーノの近くの座席で陽性患者が出たことで、濃厚接触者として、イタリアとスペイン当局から自己隔離を求められた。アルボリーノはアラゴンGPに向けてのPCR検査では陰性だったが、ロッシに続いて欠場を余儀なくされた。ヨーロッパでは再び新型コロナウイルス感染者が増加しており、厳格なプロトコルで対策を取っているMotoGPシリーズのライダー、関係者にとっても、移動の際などの感染リスクが高まっている。

 ロッシは10月11日(日)にフランスGPを終えて、その日のうちにイタリアの自宅に帰宅。13日(火)にはアラゴンGPに向けたPCR検査を受け、翌日には陰性の結果が出ていた。しかし、15日(木)の起床時に少し痛みを感じ、微熱があったため、医師に連絡を取り、検査を受けた。最初に受けたPCRクイックテストでは陰性だったが、標準のPCRテストでは陽性反応が出たという。

 この間、ロッシは、アラゴンGPに参戦するモンスターエナジー・ヤマハMotoGPのチーム関係者、VR46・ライダーズ・アカデミーやVR46のスタッフとはだれとも接触しておらず、アラゴンGP欠場はロッシの関係者には及ばなかった。なお、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPでは、フランスGP前にスタッフの一人に陽性者が出て、エンジニアを含めて6人のスタッフが濃厚接触者としてフランスGPに参加できなかった。その中にはYZR-M1のプロジェクトリーダーである鷲見崇宏氏も含まれていたという。

 新型コロナウイルス感染拡大により、今シーズンは連戦が続く変則的なスケジュールでの開催となっているMotoGPシリーズだが、バイクメーカーを始めとした日本人グランプリ関係者は、通常のシーズンであれば、レースとレースの間は日本を往復するスケジュールが取られているが、今年はヨーロッパ滞在が続いている。

 今シーズンのMotoGP各レースはEU圏内6カ国(スペイン、チェコ、オーストリア、イタリア、フランス、ポルトガル)を転戦して争われているが、この6カ国はシェンゲン協定に加盟している。シェンゲン協定は加盟国間の出入国を検査なしで国境を越えることを許可する協定だが、シェンゲン協定加盟のヨーロッパ各国以外の人間に対しては、滞在期間は「あらゆる180日の期間内で最大90日間」と規定されている。

 再開1戦目となった7月のスペインGPから11月の最終戦ポルトガルGPまでの全期間、シェンゲン協定加盟国に滞在を続けた場合、この規定の日数を越えてしまうことから、レースとレースのインターバル中、日本人グランプリ関係者はシェンゲン協定に加盟していない国、主にスペインとフランスの間、ピレネー山脈のふもとに位置するアンドラ公国に退避しての滞在を余儀なくされている。

 ロッシはイタリアの法令に基づき、アラゴンGPに続いて2週連続開催となる第12戦テルエルGPの欠場も決まっているが、ヤマハは代役を立てないことを発表している。ヤマハは状況を慎重に検討。新型コロナウイルスの影響を受けたことで、プロジェクトメンバーにも大きな負担がかかっており、エンジニアやヨーロッパ外のチームスタッフの長期滞在によるストレスなどを考慮して、新たなライダー(代役)への適応という負担を課さないことを選択した形だ。

 短期集中決戦、連戦が続く厳しいスケジュールの中、ライダーたちはチャンピオンシップ争いと共に、コロナのリスクを避ける戦いも強いられている。アラゴンGPを終えて、残り4戦、異例のシーズンは各クラス接戦のまま、最終局面を迎える。