アルファタウリとホンダがタッグを組んで3年目の2020年。前年の後半から続くピエール・ガスリーとダニール・クビアトというふたりを擁してシーズンを戦い、アルファタウリ・ホンダはコンストラクターズランキング7位という成績で2020年を終えた。

 さて今回は、ピエール・ガスリーとダニール・クビアトのふたり、そしてチームのパフォーマンスを10点満点で私的に採点していこう。2020年シーズンの評価は、以下の通りだ。

【ドライバー】
ピエール・ガスリー ドライバーズランキング10位(75ポイント) → 9/10点満点
ダニール・クビアト ドライバーズランキング14位(32ポイント) → 6/10点満点

【チーム】
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ コンストラクターズランキング7位(107ポイント) 7/10点満点

 トロロッソ最後のシーズンとなった2019年、チームは2度の表彰台に上がるなど確かな進化を示し、2018年の選手権9位から6位へと大きく躍進した。そして2020年シーズン開幕前、フランツ・トスト代表は「チーム史上最高位の選手権5位を狙う」と、ぶち上げた。

 ホンダとの協力関係は3年目を迎え、さらに緊密になる。レッドブルも同じパワーユニットを搭載したことで、車体開発上のノウハウの共有がいっそう実効性を増した。ガスリーとクビアトのコンビも、2019年以上の安定感を見せるはず。それらのプラス材料を見る限り、トスト代表の目標は十分に達成可能に思われた。

 しかし7月から始まったシーズンは、予選でもレースでも中団グループに埋没した展開が続いた。「AT01のポテンシャルは、前年型に比べて非常に高い」とテクニカル・ディレクターのジョディ・エディントンは言明し、実際その通りだっただろう。

 本人の頑張りももちろんあるが、予選でのQ3進出はガスリーだけで17戦中11回を数えた。さらにモンツァ(第8戦イタリアGP)では、初優勝を果たした。今季メルセデスとレッドブルの2強以外で優勝したドライバーは、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)とガスリーだけだ。条件が整えば、上位の結果を出せる実力は確かにあった。

 にもかかわらず選手権7位に終わった最大の理由は、アルファタウリ以上にライバルチームの伸び代が大きかったからだ。選手権6位に躍進した2019年、チームの獲得ポイント数は85だった。それが今年は107と、創設以来初の3桁ポイントを獲得した。それなのに選手権順位は、7位に後退した。

 選手権3、4位のマクラーレン、レーシングポイントが200ポイント前後、5位のルノーも181ポイント取ったのに比べると、アルファタウリの得点能力の低さは明らかだ。ライバルたちがコンスタントに上位でのダブル入賞を重ねたことで、早くもシーズン中盤には5位という目標達成はほぼ不可能になっていた。

 ではなぜアルファタウリ・ホンダは、これら3チームにこれだけの差をつけられてしまったのか。最終戦終了直後にホンダの本橋正充チーフエンジニアにそれについて訊いた際には、「レースをうまく戦えないことが、本来のパフォーマンスにそぐわないレース結果になっているのでは」と言っていた。

 10番グリッド前後からスタートすると、必然的にDRSトレインのなかでレースを戦うことになる。そんな状況では「些細な戦略ミスやタイヤの保たせ方の違い、セーフティカーのタイミングなどで」大きく順位が変わってしまうというのが本橋エンジニアの分析だ。

 とはいえ今季のアルファタウリ・ホンダは、モンツァの優勝が唯一の表彰台で、ほとんどが6位以下の入賞。そしてダブル入賞は2回しかなかった。パッケージとしてのマシン性能は中団上位3チームに大きく劣らなかったかもしれないが、セッティング能力、レース戦略を含めた週末のチーム運営、ドライバーふたりの実力などの総合力で、彼らに及ばなかったということなのだろう。

 ガスリーはそんな状況下、多くのレースでマシン性能を目一杯引き出し、チームが期待する結果を出し続けた。おそらくガスリー自身は、今季ベストレースは初優勝したイタリアGPだと答えることだろう。しかしその前週のベルギーGPも、僕には忘れがたい。

 僅差で予選トップ10入りを逃したガスリーは、唯一ハードタイヤを装着する賭けに出た。スタートを見事に決め、12番手から4番手まで順位を上げる。ところが最悪のタイミングでSCが導入され、16番手に後退。そこからのガスリーは、チェッカーまでの17周の間に8台を抜き去って8位入賞を果たした。突然訪れた幸運を逃さず初優勝を決めたモンツァとは対照的に、不運を跳ね返して望みうる最高の結果を出したレースだった。

「今の僕なら、マックス(フェルスタッペン)と互角に戦える」というガスリーの言葉は、今季の走りを見る限り誇張には感じない。2021年にF1にデビューする角田裕毅にとっては最高のライバルであると同時に、最高の師にもなることだろう。

 一方のクビアトはほとんどの予選でガスリーに遅れを取り、レースでも先行車を抜きあぐねて結果を出せないことが多かった。4位に入ったイモラでの断固としたドライビング、終盤2戦の予選で見せたガスリーを凌ぐ速さが、クビアトの本来の持ち味だったはずなのだが。