ペトロナス主催のオンラインメディア会見にメルセデスのバルテリ・ボッタスとトト・ウォルフが出席。ボッタスへのインタビューでは、強力なチームメイトであるルイス・ハミルトンに対する気持ちと彼を打ち負かすために何が必要なのか今の気持ちを率直に語っている。

────────────────

──フィンランドはこれまであなた以外にも、ケケ・ロズベルグ、ミカ・ハッキネン、キミ・ライコネン といった名だたる世界チャンピオンを輩出してきました。ヨーロッパの小国から、なぜこれだけの超一流ドライバーが生まれると思いますか。

ボッタス:一番大きいのは、かなり小さい時からゴーカートに親しむ環境が身近にあって、しかも比較的に安価にできることだと思う。人口あたりのカート愛好者の割合は、おそらく世界でもトップレベルなんじゃないかな。そしてみんな、カートが上手い(笑)。冬はスパイクタイヤで、氷上レースをしたりするしね。かなり早い段階から、限界のマシンコントロールを鍛えられるわけさ。

もうひとつは、あなたも挙げたようなヒーローの存在だ。僕にとっては、ミカ・ハッキネンが憧れの存在だった。彼のようになりたくて、一生懸命カートの腕を磨いたんだ。

──ルイス・ハミルトンという偉大なドライバーがチームメイトだというのは、正直どんな気持ちですか。

ボッタス:まず何よりもメルセデスという、現役最強チームに所属できていることに強い誇りを感じているよ。いうまでもなく、誰にでも与えられる地位ではないからね。そしてチームメイトがルイスであることが、僕のモチベーションの源泉になっている。協力してチームを前進させる仲間であると同時に、同じマシンを駆る最大のライバルでもある。彼を何とかして打ち負かそうと、ずっとやってきた。その結果、僕のドライビングスキルは大きく進化している。多くの失敗もあったけれど、多くの成功も重ねてきた。まだまだルイスにはかなわない。本当に手強いドライバーだけれど、一方で純粋なラップタイム差は着実に縮まっている。まだ全然、諦めていないよ。


■コンストラクターズ選手権7連覇を達成したメルセデスの強さの秘密
──最大のライバルでもあるハミルトンを打ち負かすために、何か変化の必要は感じてますか。

ボッタス:ルイスと戦うのは、絶え間ないメンタルトレーニングだよ(笑)。正直言って、精神的にかなりきつい。ドライビング技術自体は、決して大きく劣っているとは思わない。それでもレース週末では、全てがうまく回り、強い気持ちを持ち続けないと、彼には勝てない。そんな今までやってきたこと自体は、今後も変えようとは思わない。とにかく全存在をかけて、ぶつかっていくだけだね。ルイスはそれだけ、偉大なドライバーなんだ。

──具体的に2021年シーズンは、どんな戦いを仕掛けていくつもりでしょう。

ボッタス:自分のドライビングを向上させていく。それだけだよ。何年やっても、進化の余地はあるからね。特定の分野ということではなく、あらゆる部分を少しずつ進化させて、結果的により強いドライバーになる。毎レースそのつもりで、必死に戦うだけだ。

──メルセデスは2020年、コンストラクターズ選手権7連覇の偉業を果たしました。その強さの秘密は何だと思いますか。

ボッタス:いろいろな要因があるけど、長いシーズンを戦い抜いて最後に勝つためには、高い信頼性は欠かせない。ここでいう信頼性は機械的に壊れないことはもちろん、レース運営上のミスの少なさ、ドライバーの安定したパフォーマンスも含めてのことだ。たとえとびきりの速さがあったとしても、シーズンを通して安定して発揮できなければ、頂点には立てない。メルセデスはそれができている。しかも毎年ね。これは凄いことだよ。

あとは、目標の立て方かな。おそらくライバルチームは、メルセデスに追いつき、追い越すことを目指してマシン開発をしていると思う。それに対してメルセデスは、自分たちをさらなる高みに引き上げることが目標だ。言葉で言うのは簡単だけど、目標が低過ぎればライバルたちに追いつかれてしまうし、現実からかけ離れ過ぎていたら達成不可能だ。その辺りの目標の立て方が、実に的確なんだ。

──勝ち続けることで、モチベーションが下がることはない?

ボッタス:逆だね。2021年も勝ってやろうと、さらにモチベーションが上がるよ。それは僕らドライバーや現場のエンジニアだけでなく、ファクトリーのスタッフ、事務職に至るまで同じ気持ちだと思う。そして勝ち続けることで、さらに優秀な人材が集まってくる。好循環だね。

──もしレーシングカーのコレクションをするとしたら、これはぜひ欲しいというマシンはありますか。

ボッタス:まず何よりも、僕のキャリアの原点であるゴーカートが欲しいね。実際に探しているんだけど、残念ながらまだ見つかっていない。もし将来的にコレクションするとしたら、やはり自分が乗ったクルマだろうね。今、実際に1台だけ所有しているのは、2014年のウイリアムズF1だ。オーストリアGPで初表彰台を射止めたマシンで、その記念にチームから贈られたんだ。