ウエットコンディションでスタートを迎えたF1第2戦エミリア・ロマーニャGPの決勝レース。中盤にはバルテリ・ボッタス(メルセデス)とジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の接触により、レースは赤旗中断となった。スタート前からアクシデントが相次ぎ、波乱の展開となったエミリア・ロマーニャGPを無線とともに振り返る。

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 大荒れの展開となった第2戦エミリア・ロマーニャGP。レース中も小雨が降り続き、それでも走行ラインを中心に路面は少しずつ乾いていった。このコンディションでは、いかにマシンを乗りこなせているかで、ペースに大きく差が出る。その意味で、今季から新チームに移籍したドライバーは不利と言えた。

 15周目には、カルロス・サインツ(フェラーリ)がコースオフ。後続との差が大きく順位はキープできたものの、激しく自分を責めた。

サインツ:ああ、何度ミスをすればいいんだ。どうしたらいい?
フェラーリ:落ち着け

 同じく移籍組のダニエル・リカルド(マクラーレン)はこの時点で5番手につけていたが、あっという間にチームメイトに追いつかれた。

ランド・ノリス:すごくいいペースなんだけど。クリーンエアで走りたいなあ

 ノリスの無線に、チームはすぐに反応した。

マクラーレン:ダニエル、ランドと順位を入れ替えてくれ。クリアエアで走りたがっている

 リカルドにしてみれば屈辱の順位交代だったが、「僕には十分に速いペースがなかった」と、レース後語っている。

 一方ランス・ストロール(アストンマーティン)は違う理由でペースが伸びなかった。

ストロール:何にも前が見えない! バイザーが曇りまくってる!

 15周目前後には、ドライタイヤに交換できるほどラップタイムは改善していた。しかし最初にスリックを履いて、みんなの実験台になるようなマネはしたくない。

マックス・フェルスタッペン:スリックを履いたヤツのペースを、しっかりチェックしてくれ
レッドブル・ホンダ:わかった。でもまだ誰も履いてないよ
マクラーレン:ランド、最初にドライを履きたくない。できるだけインターで走り続けよう

 20周目のセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)を皮切りに、徐々にドライタイヤを履くドライバーが出てきた。

(26周目)メルセデス:バルテリ、まだドライでインター以上に速く走ってるクルマはないね

 それでもフェルスタッペンは27周目に、ルイス・ハミルトン(メルセデス)の先手を打ってドライタイヤに交換し、首位キープに成功する。必死に追うハミルトン。しかし31周目、トサの出口でラインを変えてジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)を抜こうとし、コースオフを喫してしまった。

メルセデス(→ボッタス):ルイスがターン7でグラベルにハマった
ハミルトン:みんな、本当にすまない

 ところがその直後、ボッタスとラッセルの大クラッシュが起き、ハミルトンは命拾いする。

ラッセル:マジで、何やってるんだ、あいつは!
ボッタス:何てこった……
メルセデス:大丈夫か

 ラッセルがまだコクピット内にいるボッタスに近づき、罵倒の言葉を投げたのは、この直後だったのだろう。レース後、興奮状態の治まったラッセルは、メルセデスとボッタスに対して謝罪している。

 28分間の赤旗中断後、9番手から再スタートしたハミルトンは先行車を次々に抜いていく。

メルセデス:きみが今、コース上最速だ

 38周目には4番手を走っていたセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)が単独スピンを喫し、14番手に後退してしまう。

ペレス:ダメージはない
レッドブル・ホンダ:まだ24周ある。ポイントは獲れるぞ

 気落ちした声のペレスを、エンジニアが必死に励ます。10番手だった角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)も、再スタート直後にスピン。必死の走りでペースを上げるものの、何度もターン9ではみ出していた。たまらずチームから注意が飛ぶ。

アルファタウリ:ユウキ、ターン9の境界を必ず守ってくれ。きっとだぞ

 しかしその後もトラックリミットを何度も越えてしまい、55周目には5秒加算ペナルティ科されてしまう。

 その間にもハミルトンは次々にオーバーテイクを繰り返し、50周目にはサインツをかわして3番手まで順位を回復した。

メルセデス:2番手のノリスはソフトだ。ペースは必ず落ちてくる

 追われる立場のノリスに、マクラーレンは57周目に「1秒1」58周目には「0秒8」と、ハミルトンとのギャップだけを伝える。直後にノリスから、悲鳴に近い声が飛び込んできた。

ノリス:コーナリング中にクラッチが滑る! 全然トラクションが伝わらないよ
マクラーレン:ランド、きみが左のパドルを押してるんだ。

 膝を保護するニーパッドが、クラッチパドルに触れることが原因だった。終盤60周目、ハミルトンはあっさりノリスを抜き去って行った。

ノリス:彼は速すぎる
メルセデス:ルイス、あと3周だ。最速ラップを狙おう

 その声に応えたハミルトンは、最速ラップの1ポイントを手中にし、望外の2位でチェッカーを受けた。

メルセデス:素晴らしいリカバリーだった、凄いバトルで2位まで戻ってきたね
トト・ウォルフ代表:よくやった。選手権をリードしてるぞ
ハミルトン:本当にすまなかった。人生は学びだ。ここからまた戦っていく