2021年F1第9戦オーストリアGPではマックス・フェルスタッペンがポール・トゥ・ウインを飾り、レッドブルは5連勝を記録した。ホンダにとって5連勝というのは、1988年以来のこと。ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターは、1988年の記録と肩を並べるつもりはないとしつつも、メルセデスとは当初の予想以上の戦いをしていると語った。

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──1988年以来の5連勝です。偉大な記録に、また一歩近づきました。

山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):1988年と肩を並べるつもりはまったくありません。1988年の11連勝、16戦15勝というのは、超えることはありえない偉大な記録。ただ、私たちは今シーズンがホンダにとって最後のF1だから、純粋にみなさんの記憶に残るシーズンにしたいなと思ってやっているだけです。

 僕もひとりのファンとして見たら、いまのF1は非常におもしろくなってきていると思います。2015年にF1に復帰してマクラーレンといろいろ学び、その後トロロッソとベースを作り、2019年からレッドブルと勝ちにいくというシナリオを作って、いまそれが身を結びつつあります。いま私たちは戦っている感じが非常にしているし、みんなが成長してここまでやってくることができるという意味ではレッドブルに感謝しています。この戦いをこれからも1戦1戦続けていくだけです。

──タイトル争いの今後に向けた手応え、課題はありますか?

山本MD:この3連戦3連勝は、いい内容だったと思います。正直メルセデスとは前半はもっと拮抗する戦いになると思っていたので、予想以上の内容になっているのも事実です。次のイギリスとハンガリー、夏休み前の2戦がひとつの山場かなと思いますね。そこでさらにポイント差が広がれば本当にリラックスした夏休みを迎えられます。メルセデスもイギリスが本拠地で、アップデートしてくるという噂もあるし、彼らもこのまま黙ってはいないと思います。

──2年前のオーストリアGPでホンダが復帰後、初優勝したときにも田辺豊治F1テクニカルディレクターが表彰台に上がりました。今回はどんな経緯だったのですか?

山本MD:レッドブルがホンダに対して感謝の意味を持ってのことと聞いています。信頼性も含めてパワーユニット(PU)をしっかり供給してくれていることに対する感謝の意で、ホンダのエンジニア代表で田辺が上がったという感じですね。

──やっぱりホンダの方の姿を表彰台で見られるのは、同じ日本人としてはいいですね。

山本MD:うれしいですよね。日本人で2回上がった人はいないんじゃないかな。それだけレッドブルがホンダに感謝しているということですよ。だって、先週は(モータースポーツアドバイザーのヘルムート・)マルコが乗ったあの表彰台ですよ。

──それも勝ち星が増えているからこそのことではないでしょうか。あと14戦残っています。もっと勝って、いろいろな人が上がるといいですね。そうなると、まだまだ連勝の可能性があります。

山本MD:連勝を意識するというよりは、1戦1戦きちんと勝ち抜いていかないとチャンピオンシップ争いはできない。そこに焦点を当ててやっていくだけです。

──同じサーキットで2週連続優勝しましたが、内容は同じではありませんでしたね。

山本MD:オーストリアに来て思ったのが、レッドブルのアップデートを含めてクルマが非常にマックス(・フェルスタッペン)に合ってきているということ。(セルジオ・)ペレスもついて行っているし、チームにとっていい方向にきています。これまで以上にチームが総合的に強くなっているなと感じました。

■「どんな理由があっても同じ失敗を2度してはいけない」

──次のイギリスGPはHRD UKのホンダのスタッフにとっても第2のホームレースです。

山本MD:ホンダだけでなく、レッドブルもファクトリーがあるので、レッドブル・ホンダとしての第2の母国レースです。チームの本拠地なのでしっかりやらないと。

──スプリント予選レースも導入されますね。

山本MD:初めての取り組みでおもしろい。どうなるか見てみたいです。

──これはチャンピオンシップを戦ううえでレッドブル・ホンダにとってどう影響すると思いますか? 連勝しているホンダにとって、今までと同じ戦いのほうがいいのか、速ければ多少ルールが変わって問題ないと感じているのか、どちらでしょう?

山本MD:スプリント予選というのはみんな同じ条件だし、F1にとっていい方向にあればいいし、ファンが喜べば僕はそれでいいと思います。僕はカートをやっていたから、その予選ヒートと同じです。

──リバースグリッドとは違いますね。

山本MD:ゴーカートと同じです。予選ヒートのレースがあって、その結果で決勝のグリッドを決める。世界選手権はみんなそうだから。ファンは喜ぶんじゃないですか? 言い換えるとレースが2回見れるという点ではイギリスのファンにとってはおいしいです。

──角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)選手がレースで2回ペナルティを受けてしまいました。実力が出せないままポイント圏外で終わったのですが、本人曰くフリー走行から同じことをやっていたのに、どうしてかと言っていました。

山本MD:わかっているのだろうけど、わかっていたら2回やっちゃダメだよね。ピットレーンのホワイトラインをまたぐっていうのはゴーカートでも学んでいること。F1は速度が高いうえに、少しでも速度を落とさずにピットインしたいという気持ちはわかるけど、どんな理由があっても同じ失敗を2度してはいけない。そういうことは改めてほしいなと思います。

──線がなんのためにあるのか考えれば、もう少し慎重にいってほしかったですね。

山本MD:そうですね。ゴーカートでもペナルティを取られるし、それで学んでいく。ホンダとしては、勉強をさせるという意味で、彼がもう少ししっかり走ることができるように支援していきます」