スーパーGT第3戦鈴鹿が8月に延期になり、今季3戦目となるスーパーGT第4戦が今週末、5月の第2戦以来の2カ月ぶりにツインリンクもてぎで開催される。

 もてぎのGTと言えば、記憶に新しいのが昨年11月、第7戦もてぎのリザルト。優勝から5位までトップ5をすべてホンダNSX-GT陣営が占め、昨年9月に行われた第4戦もてぎでもNSXが優勝していることから、もてぎで現行NSXが圧倒的にパフォーマンスが高いことは明かだった。

 昨年から大きくレギュレーションが変わっていない今季のGT500においても、もてぎでのホンダNSX-GTの優位性は継続されることは間違いない。

「昨年はウエイトがそれなりに重い第7戦でトップ5独占。今回はそれよりもサクセスウエイト(旧称:ウエイトハンデ)が軽いクルマが多いので、負ける訳にはいかない」とは、とあるホンダ陣営関係者。ホンダ陣営にとって、このもてぎは絶対に落とせない戦いでもあるのだ。

 そのホンダ陣営のなかで、今回特に注目したいのが8号車ARTA NSX-GT。前戦の第2戦富士ではトップ走行中の福住仁嶺が黄旗中に追い越しをしていまいペナルティを受け、ほぼ手中にしていた優勝を逃して8位に終わった。

 その福住は6月のスポーツランドSUGOで別カテゴリーながら、スーパーフォーミュラで悲願の初優勝を果たし、GT富士までの悪い流れを振り払ったように見えた。その福住に、GTもてぎの搬入日に聞く。

 まずはスーパーフォーミュラでの初優勝で何か自分の心境に変化はあったのだろうか。

「やっと勝てたのでやはりうれしかったですし、2〜3日はそんな気持ちが続いていましたけど、すぐにカートのレースがあったので、すぐに次のレースにしっかりと向き合うようになりましたね。今週のGTのレースに向けては多少は不安な気持ちもなくはないですし、そろそろGT500でも結果を残したいという気持ちも強い。といっても、そんなに大きなプレッシャーを感じてるわけではないので、自分のレースに向けていい流れを作れるのではないかなと思っています」

 第2戦の黄旗中の追い越しペナルティについては、福住はどのように自分自身のなかで消化しているのだろう。

「あの時の優勝を取り返したいという気持ちはもちろんあります。(搬入日は)いつもトラックウォークをルーティンでしていますけど、今日もしっかりとポストの位置の確認をしました。レース中でも僕だけでなく、チームの方でもいろいろ工夫をしてきているので、前回の失敗があったからこそ、今回のいい結果になったと言えるようなレースができればと思います。今回は勝ちに来ています」

 まさに山あり谷ありの福住の序盤戦。8号車ARTAが前回の借りを返すことになるのだろうか。

 一方、ライバル陣営としても当然、昨年のように今年もホンダNSX-GT陣営に2度のもてぎの優勝を献上するわけにはいかない。GRスープラの開発責任者のTCD/TRDの湯浅和樹氏が話す。

「去年、もてぎでボロボロに負けてしまったので、今年は去年のもてぎ戦で負けていた部分を全部つぶしてきました。レース結果というよりも、レースの内容、パフォーマンスの部分で去年のような惨敗がないように」と湯浅氏。

 GRスープラ勢では第2戦富士のレース終盤、2番手走行中の36号車au TOM’S GRスープラがプロペラシャフトの破損でリタイアしたが、その破損の原因の一因として、初めて導入されたFCY(フルコースイエロー)での低速域での走行の影響があたっという。

 だが今回、GTスープラ陣営としては「その対策はできているので、今回同じようにFCYが入っても問題ありません」(湯浅氏)と自信を持つ。第2戦の富士から今回のもてぎまでの2カ月の間、コツコツと分析や対策を続けてきたGRスープラ陣営の成果が今週末、明らかになる。

 また、ニッサンGT-R陣営にとっても打倒NSX-GTと同時に、このもてぎ戦は重要な一戦になる。エース車両でもある23号車MOTUL AUTECH GT-Rは2戦を終えてまさかの0ポイント、サクセスウエイト0kg。もっとも軽い車両の1台でもあり、今回のもてぎはビッグポイントを獲得する大きなチャンスになる。

 前回はスタート直後のエンジンブローでレースを走ることができなかった23号車の松田次生も「まずは今回、きちんとレースを走って、そして次の鈴鹿と合わせて2連勝を狙いたいですね」と意気込む。

 MOTUL AUTECH GT-Rで気になるのは、前回の第2戦富士でのエンジンブロー。ニスモの松村基宏総監督によると、前回のトラブルには不運の要素が大きかったようだ。

「実はスタートした直後に軽く接触がありまして、そこでウチのクルマの一番弱い部分でもある冷却系が変形してしまって、ストレートでスリップストリームに入って一気に水温が高くなっていたところに、さらに水温が上がって、それでエンジンに負荷が掛かって破損に至ってしまいました」と松村総監督。

 今回はその冷却部が変形しないように対策を施して来たというが、気になるのは今回のもてぎから搭載するシーズン2基目のエンジン。当然、想定外の早い段階での投入となってしまったため、大きなアップデートはできず、1基目とほとんど同じ仕様のエンジンを今回投入することになったという。

 MOTUL AUTECH GT-Rとしては第1戦のクラッシュ、そして第2戦のトラブルと今季は不運に見舞われているが、「運が悪かったといっても、それもレースですから」と松村総監督。ホンダNSXの優勢が高まる今回のもてぎで、なんとか存在感をアピールして大きなポイントを獲得したいところだ。

 今季はまだ3戦目にして、早くも各メーカーの思惑、チームの狙いがバラけてきたGT500の2021年シーズン。果たしてどのような結末になるのか、目が離せない。