2021年もシリーズ後半戦への折り返しを迎えたスーパーGT第5戦、スポーツランドSUGOでのGT500クラス公式予選は、みちのくに初秋到来の気配を感じさせるドライ路面での勝負が繰り広げられ、8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺がついに今季初ポールポジションを獲得。フロントロウ2番手にも前戦鈴鹿に続き16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが並び、ホンダ陣営が予選最前列を独占する結果に。明日の決勝に向けては気温上昇が見込まれるだけに、2年ぶり開催となる“秋の初モノ2連戦”の初戦に向け、まずはNSX-GTが先手を打つ視界良好のグリッドを手にしている。

 日本列島を含め現在も世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響により、昨季2020年は開催のなかったSUGOでの1戦が2年ぶりにスーパーGTの舞台として戻ってきた。その昨季より新規定導入が完了したGT500クラスにとっては、FR化されたホンダNSX-GT、ベース車両をスイッチしたトヨタGRスープラ、そして前戦で表彰台独占を達成したニッサンGT-Rの3メーカーともに、現行規定車両では初のSUGO挑戦となる。

 それだけに土曜走り出しの公式練習がセットアップの最適化やタイヤ選定、そしてライバル陣営との競争力見極めに重要なセッションとなるはずだったが、ここでホンダ陣営は1号車STANLEY NSX-GTが長時間にわたりピットボックス内で作業を強いられ、17号車Astemo NSX-GTがGT300クラスに接触されるアクシデントにより貴重な走行時間を失うなど、予選に向けわずかな不安要素を抱え込むことに。

 一方で、各陣営が予選シミュレーションを実施したGT500クラス専有走行では、サクセスウエイト(SW)搭載量の比較的少ない8号車ARTA NSX-GT(SW:26kg)を筆頭に、カルソニック IMPUL GT-R(SW:16kg)、64号車Modulo NSX-GT(SW:4kg)、38号車ZENT CERUMO GR Supra(SW:28kg)が上位に並ぶ順当な結果となった。

■Q1:ウエイト搭載量で明暗分かれる

 そんな午前9時20分の公式練習開始時点でも、トラック上は気温21℃、路面温度23℃という条件の曇り空。午後になっても日差しが戻ることはなく、GT300開始時点で同24℃/27℃というコンディションのもと、GT500クラス2年ぶりSUGO最速の座を目指す勝負が始まった。

 15時03分のセッション開始で真っ先にコースインしたのは、37号車KeePer TOM'S GR Supraの平川亮。2分を経過してほぼ全車がトラックへと向かっていき、残り6分で24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが最後にピットを後にする。

 搭載ウエイトや選択したコンパウンドの影響もあってか、先行してウォームアップを進めるKeePer平川に対し、背後から1周違いで進めていた集団の中から、まずはAstemo NSX-GTの塚越広大が自身3周目で1分10秒617のターゲットタイムを記録する。

 続く周回にはARTA野尻智紀、STANLEY牧野任祐が上位に飛び込み、この時点でホンダ勢がトップ3を占拠してみせる。しかし直後にカルソニックの平峰一貴が1分10秒404で2番手、38号車ZENT CERUMO GR Supra石浦宏明が1分10秒550と上位を切り崩し、一転して3メーカー3車種が最前列を争うように並んでくる。

 チェッカーを目前に16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがそこへ飛び込み、1分10秒303とさらに最速タイムを更新し、笹原右京が存在感を示したものの、その背後でコントロールラインを通過した39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra中山雄一が快心のアタックを決め、1分10秒275でタイムボードの最上位へ。

 計測5周目まで自己ベスト更新を続けたARTA野尻や、Modulo大津弘樹も、ともに3番手タイムで届かず。DENSOがひさびさのQ1トップタイムでQ2進出を決め、5番手カルソニック以下、ZENT、Astemo、CRAFTSPORTS MOTUL GT-RまでがQ2へ進出を決めている。

 そのカットライン8番手までが首位からわずか0.406秒差という熾烈なアタック合戦の結果、KeePer平川は9番手に終わり、14番手に沈んだ36号車au TOM'S GR SupraとともにTOM'S勢はウエイトに苦しんだか、ここで予選を終えている。

■Q2:福住が唯一の1分9秒台をマーク。ホンダ勢が最前列を占める

 GT300クラスQ2を挟み15時41分からの勝負となったQ2も、コースオープンからしばらくのウエイティングを経て、ARTA福住仁嶺を先頭に各車がコースへ。前戦勝者の23号車MOTUL AUTECH GT-RがQ1敗退となったことから、唯一のミシュランタイヤタイヤ装着車となるCRAFTSPORTS平手晃平は、キャリアを通じて相性の良さを見せる“SUGOマイスター”の貫禄も漂わせつつ、隊列の最後でピットロードを後にする。

 するとまだライバル陣営がウォームアップを進めていた計測3周目で、その平手が早々のアタックを敢行し、1分10秒580の好タイムを記録していく。

 これに挑む構図となった計測4周目にはホンダ陣営の反撃が続き、前戦鈴鹿のポールシッター、Modulo伊沢拓也が1分10秒366でトップへ。続いてホームストレートを駆け上がってきたARTA福住が、唯一の9秒台となる1分09秒887を叩き出し、ここまで本命視され続けてきた8号車がついに本領を発揮。コースレコードに迫る脅威のスピードを披露する。

 その後もこの“10秒切り”の攻防が繰り広げられ、1分10秒243を記録したカルソニック松下信治を上回り、Red Bull MOTUL MUGENの大湯都史樹が1分10秒049で2番手へ。大湯は続く5周目でも連続アタックを掛けたものの、わずか0.030秒差で自己ベスト更新はならず。

 8号車ARTA、16号車Red Bull MOTUL MUGENが最前列を“ロックアウト”。セカンドロウ3番手のカルソニックを挟み、4番手にはSW60kg搭載で燃料リストリクター1ランクダウンの措置を受けながらも、計測4周目に1分10秒316としたAstemo NSX-GTが入り、NSX-GTが2列目までに3台を送り込むことに成功した。

 CRAFTSPORTS平手は5番手となり、以下Modulo NSX-GT、ZENT GR Supra、DENSO KOBELCO SARD GR Supraと並ぶ最終リザルトに。これで決勝では、GRスープラとGT-Rが目の前に並ぶNSX-GT勢を捕まえられるかがレースの焦点となる。

 予報では快晴の日差しを受け気温とともに一転して路面温度の上昇も予想され、大幅なコンディション変化により波乱の予感も漂う84周300kmのバトルは明日12日午後13時30分から繰り広げられる。