レース中盤を過ぎて、さまざまなアクシデント、トラブルが多発してサバイバルレースとなったスーパーGT第5戦SUGOのGT500クラス。特に今回はエンジンに関連すると思われるトラブルが多く、各陣営でレース後は深刻な雰囲気を感じさせた。残念ながらリタイアしてしまったクルマについて、レース後に取材できたドライバーたちのコメントとともに振り返る。

 順調にレースが進んでいた前半戦から一転、ルーティンのピットインが始まったあたりから、いくつかのチームにトラブルが発生しはじめた。まずは予選5番手から決勝4番手で走行していた3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R。前半担当の千代勝正が走行していたときからトラブルの兆候が見られるなか、ピットインで平手晃平にドライバー交代。その平手が振り返る。

「千代選手が走っていて、ちょっとエンジンから出火しているようなコメントが来ていました。前半スティントのペースはよかったので、もうちょっとピットタイミングを引っ張って半分あたり(40周前後)まで行って交代かなと思っていたのですけど、状況がどんどん芳しくなくなってきたので、早めにピットに入れて確認してみたのですけどダメでした。乗り代わって出て行ったんですけど、すぐにエンジンが回らなくなって、これ以上走り続けて壊してしまうよりは、ということでピットに戻ってきました」

 38周目にCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rはマシンをガレージに入れて、レースを終えることになった。原因はエンジンのマイナートラブルだった。

「トラブルさえなければ、表彰台を狙えるくらいのペースで走れていました。今回燃リス(燃料リストリクター)が入ってどうなるかと思っていたのですが、ニューエンジンがいいパフォーマンスで予選からよくて、決勝でも前半いいペースで走れて表彰台も行けると思っていた。悔しいですけど逆に今回、12号車(カルソニック IMPUL GT-R)が勝ってくれて、GT-Rとしては2連勝できましたし、次のオートポリスも鈴鹿、SUGOと似た形で行けると思うので、次のオートポリスでこの悔しさを返したいなと思います」(平手)

 その後はGRスープラ勢のアクシデントが続く。46周目の最終コーナーで19号車WedsSport ADVAN GR Supraが煙を上げて炎上してコース上にストップ。コクピットにいた宮田莉朋はすぐにマシンを降りて、自ら消火器を手にして消火活動を行った。その宮田に聞く。

「SP1個目あたりで突然トラブルが起きて、エマージェンシーの警告が出ました。そういったアラームが出たときはクルマを止めなきゃいけないのですけど、ピットに帰れそうだったので、周りに迷惑を掛けないようにスローダウンしながら走行していたら、だんだん煙が出てきて、左前あたりから火が出てきた。これはダメだと(消火器のある)オレンジのポスト近くにクルマを止めてすぐに降りて、消火器で消火活動をしたのですけど、全然鎮火しなくて、消火器1本では足りなかったですね。1本使い切ったのですけど、FROとかでクルマの消火活動をする消火剤と違って、普通の粉の消火剤だったのでクルマの火は消えませんでした」と宮田。

 幸い、宮田に怪我はなかった。

「僕の身体は大丈夫です。今回はGRスープラ全体にトラブルが多かったですし、普通に走り切れていれば今回のレース展開を見ればシングルで終えてた可能性もあったので、ちょっと残念な結果ですけど、今はとにかく、スポンサーさんやチーム、ファンのみなさまの支援でレースができているので、結果よりもクルマとエンジンが次のレースまでに無事に直って欲しいと思っています」

 そのWedsSport ADVAN GR Supraのアクシデントの後の58周目には、38号車ZENT GR Supraがマシンをガレージに入れた。38号車は前半スティントで立川祐路が6番手まで順位を上げ、バトルで接触して飛び出したもののペースはよく、上位フィニッシュが確実な状況だった。しかし、ピットアウトで石浦宏明に乗り代わった後、トラブルが発生してしまった。石浦が振り返る。

「僕が乗り始めたときからずっと加速がちょっとおかしくて、無線ではSC中もいろいろやりとりして何が原因かを探っていたのですけど、システムをリスタートしても、あまりにも加速がしませんでした。周りにも迷惑を掛けている感じになっていたので、チームとして今回のレースは止めようと判断しました。まだ、何が原因かはわからないですけど、クルマはいい感触になってきていたので残念です」と石浦。

 そのZENTの5周後、63周目には14号車ENEOS X PRIME GR Supraがストレートの途中でグリーンにマシンを止めてしまう。マシンのボンネットからは、煙が立ち上がっていた。エンジンまわりに何かしらのアクシデントが起きたのは明かだった。ステアリングを握っていた山下健太が振り返る。

「乗り代わってから、若干パワーが落ちているかなという感じではありましたが……異音とともにエンジンのパワーが完全になくなって、終わってしまいました」と、言葉少なく振り返る山下。

 ポイントランキングでも、トップのSTANLEY NSX-GTが2位に入ったことでENEOS X PRIME GR Supraは大きく差を付けられてしまった。次のオートポリスに向けてはエンジン交換も必要な雰囲気があり、そうなると年間3基目を投入することになり、今回のMOTUL AUTECH GT-Rと同じように5秒ストップ相当のペナルティを受けることになってしまう。

「チャンピオン争いに関しては、かなり厳しい状況になってしまいましたね。でも、こうなったらまた残り3戦のどこかで勝ちたいですね」と山下は肩を落としながらも前を向いた。

 今回、3号車、そして19号車、38号車、14号車を始め、ニッサンGT-R、GRスープラは全車スペック2のニューエンジンを搭載していた。直接の原因はどのメーカーも解析はこれからになるが、いずれにしても、そのニューエンジンを搭載した最初のレースでトラブル、アクシデントが多発してしまう結果になってしまった。

 現在のスーパーGTではコロナの影響でテストが限定されて、ニューエンジンを開発しても実装で確認できる機会が少ないことも原因のひとつと考えられるが、「どのメーカーも、ギリギリまで攻めているからね」と、あるメーカー関係者が話すように、GT500のエンジン開発競争が過熱を通り越している気配も感じられた。