2021年F1第14戦イタリアGPは、スタートで首位に立ったマクラーレンのダニエル・リカルドが3年ぶりの勝利を挙げた。チームメイトのランド・ノリスが2位に入賞したことで、マクラーレンにとっては2012年以来の優勝をワン・ツーフィニッシュで飾ったことになる。ワン・ツーフィニッシュも、2010年以来のことだ。

 マクラーレンのダイレクターレースエンジニアリングを務める今井弘は、昨年もチームがモンツァで競争力を発揮したことから、今年も好結果を期待していたといい、その理由のひとつとして、コースの特徴とクルマの特性が合っている点を挙げた。

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──優勝、おめでとうござます。イタリアGPはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)の接触事故など波乱もありましたが、マクラーレンの週末を通した速さも光りました。

今井弘ダイレクターレースエンジニアリング(以下、今井):ありがとうございます。昨年もここはよかったので、今年もいいはずだと予想はしていました。

──昨年もカルロス・サインツ(現フェラーリ)がピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)と優勝争いを繰り広げていましたよね。ローダウンフォース仕様が得意なのでしょうか。

今井:コースの曲率(曲線の曲がり具合)とか(ストレートの)長さが我々のクルマに合っているのだと思います。

──たとえば、そのようなサーキットは、ほかにどこになりますか。

今井:スパもよかったですよね。ですので、その手のサーキットはいいのだと思います。逆に前回のオランダはよくなかった。回り込んだサーキットだからだと思います。

──次のソチはどうでしょうか?

今井:次のソチはそこまでではなく、中間だと思います。

──今回のイタリアGPでの戦略はどのようなものだったのですか?

今井:ふたつのスティントを均等に割ったプランAと、第1スティントを長くしたプランBのふたつを用意して、レース展開を見ながら、どちらにするかを決めることにして、最終的に2台ともプランAでした。

──レースは、タイトル争いを繰り広げているフェルスタッペンとハミルトンが接触事故を起こす波乱がありましたが、それがなかったら、どんなレース展開になっていたでしょう。

今井:願わくば、ダニエルが最後まで押さえ込んでくれることを予想していました。不可能ではなかったと思います。

──スタートで前に出たリカルドが、上位陣のなかで先にピットに入りました。これはアンダーカットをされたくないのであのタイミングだったのか、それとも周りは関係なく自分たちのタイヤ戦略のプラン通りだったのですか。

今井:もちろん最初に入れるタイミングで入ったわけですが、後ろからバルテリ・ボッタス(メルセデス)が挽回してきていたので、ボッタスの後ろには当然なりたくない。あのタイミングでピットインすると、ボッタスとその前を走っていたサインツの間に戻る、ちょうどいい隙間があったので入ったんです。

──逆にレッドブル・ホンダは2番手のフェルスタッペンを同じタイミングで入れる用意をしていたのに、1周延ばしました。

今井:もちろん鉄則からいけば、同時に入ったら順位はそのままなので、あれは間違ってはいないと思います。詳しくはレッドブル・ホンダに聞いてください。

──ピットストップを終えるとランド・ノリス(マクラーレン)もハミルトンの前をキープしていました。

今井:ルイスも(ピットストップ作業が)遅かったので。

──1-2体制になった直後にフェルスタッペンとハミルトンが絡んで両者リタイアしました。フェルスタッペンは同じハードタイヤでしたが、ハミルトンはミディアムタイヤでした。もし、ハミルトンがレースを続けていたら、どうなっていたでしょうか。

今井:ボッタスが後半ペースがよかったことからもわかるように、(ハミルトンも)速かったと思います。でもここはなかなか抜けるコースではありませんから。

──確かに距離は違いましたが、土曜日のスプリント予選でもハミルトンはマクラーレン勢を一度も抜けませんでしたね。

今井:そうです。

──フェルスタッペンとハミルトンがリタイアした後、ノリスから「この作戦で本当にいいのか?」、「この戦略がチームにとってベストなの?」という、チームオーダーを出してほしいような無線がありました。確かに、あのタイミングでは純粋なペースではノリスが速かったように思っていたのですが、あの判断は?

今井:僕らのプライオリティはクリアで、チームのリザルトを最大化するのが目的です。したがって、それに沿ったものですね。

──そこで順位を入れ替えてもポイントは同じ。それだったら、人為的にポジションの入れ替えはしないほうがいいと?

今井:やる意味がないということです。