予報通り悪天候となった土曜日のソチ・オートドローム。天候は午後2時すぎから急激に回復し、予選は予定通り午後3時に開始されたが、フリー走行3回目は中止となり、ぶっつけ本番での予選となった。

 ウエットコンディションの予選は角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)にとって、第12戦ベルギーGP以来、2度目。スパで経験しているとはいえ、ルーキーにとっては厳しい状況のなかで予選を迎えることとなった。

 しかし、その予選で角田は素晴らしいアタックを披露した。

 Q3に進出できず、13番手に終わった予選を「素晴らしい」と表現したのには、理由がある。確かに角田の予選最高位は第9戦オーストリアGPの7番手だ。また、チームメイトとの予選での順位差が最も小さかったのも、同じく第9戦オーストリアGPで、ガスリーは6番手だった。

 今回の予選で角田は13番手だったが、ガスリーもまたQ2を突破できず12番手に終わっていた。

 さらにタイム差はオーストリアGPよりも今回のほうが僅差だ。オーストリアGPが0.166秒差だったのに対して、今回のロシアGPは0.110秒差だった。ラップタイムはオーストリアGPよりロシアGPのほうが大きいので、ふたりの差は数字以上に縮まった計算となる。

オーストリアGP(タイム差 0.166秒)
6番手 ガスリー 1分4秒107
7番手 角田 1分4秒273

ロシアGP(タイム差 0.110秒)
6番手 ガスリー 1分46秒641
7番手 角田 1分46秒751

 その理由は、Q2のタイヤの使い方にあった。15分間で行われるQ2も、Q1から引き続き、路面は濡れた状態。アルファタウリのふたりはほかのドライバー同様、インターミディエイトを装着してコースインしていった。

 Q1はふたりとも1セットのインターミディエイトでチェッカーフラッグが振られるまでタイムアタックを続行。Q2もガスリーは同じように1セットのタイヤで連続してコントロールラインを通過するなかでアタックを行っていた。

 これに対して、角田は3回アタックした後にピットイン。同じインターミディエイトタイヤながら、新品に履き替えてアタックを再開した。

 その理由を予選後に尋ねると角田はこう説明した。

「Q1は割と雨量が多いところから始まったので、(連続してアタックしていても)グリップの落ちが少なかったんですけど、Q2に向けてトラックコンディションが良くなって、Q2では少しずつグリップが落ちていきました」

 つまり、角田はQ2で最初に履いたインターミディエイトでこれ以上アタックしてもタイムは上がらないと判断し、新品に交換するためにピットインしたのだった。

 しかも、それは「自分の判断です」(角田)という。

 一方、Q2で1セットのインターミディエイトで走り続けたガスリーは予選後、こう語った。

「Q2では1セットのタイヤで走行し、セッション終了時には完全に使い切ってしまった。これは自分たちの大きなミス。今日何が起こったのかをさらに理解するために、チームと分析するつもりだ」

 ウエットコンディションではドライビングテクニックだけでなく、判断力も含めて、ドライバーの能力が大きく問われる。その戦いのなかで、角田はまたひとつ成長している姿を披露。そういった意味で、ロシアGPの予選は今シーズン、屈指の予選だったと言っていいだろう。