9年ぶりに復活した2020年のトルコGPでは異常なほど低い路面グリップに誰もが苦しめられた。それが2021年は一転、路面コンディションは劇的に改善された。その結果「エンジン全開率も大きく上がった」ものの、「それに対応できるよう構えている」とホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターはコメント。さらにセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)の4番手が最高位だった初日の結果についても、「まだまだ改善の余地があり、最適化を進めていく」と総括した。

 またこの日サーキットを初めて走ったホンダRA272を模したレッドブル・ホンダのカラーリングに関しては、「素直にきれいだなと思った」「チームとの一体感もいっそう深まった印象でうれしかった」と語っていた。

────────────────────

──初日を終えた限りでは、昨年とは路面コンディションが大きく変わった印象です。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):昨年のトルコGPは直前に再舗装された路面、さらに雨混じりのコンディションもあり、グリップ不足に非常に苦しみました。それが今年は大幅にグリップが向上していると、FP1を走り出してすぐにわかりました。それだけ大きい状況変化に対応するべく、ホンダ勢4台はセッティングをさまざまに変えて周回を重ねました。パワーユニット側で言うと、エンジン全開率が想定よりも上がっていました。

──初日はメルセデスが好調に見えました。

田辺TD:フェラーリのシャルル・ルクレールも速さも見せていましたね。明日に向けてまだまだ改善の余地がありますし、初日に試した内容を確認しながら最適化を進めていこうと思っています。

──全開率の上昇はどれくらいでしょうか? 0.数%など、その程度なのでしょうか?

田辺TD:いえ、けっこう大きかったです。ドライバーの運転の仕方、セッティングの煮詰めによっても変わってきますが。

──基本的には路面グリップが想定よりも向上していたということでしょうか?

田辺TD:そうですね。昨年のグリップがあまりに低く、しかもF1開催前にほかのレースもほとんど行われていませんでした。今週末もサポートレースはありません。それでどれくらい改善されているのか、実際に走ってみるまでわからなかったです。水処理をしたという話も聞いていましたが、具体的な改善データはないです。昨年の再舗装直後のオイルが浮いた状態から(経年変化以上に)大きく変わっていました。ただ、パワーユニット側としては予測の振れ幅が非常に大きかったとしても、対応できるように構えています。

■ハミルトンのICE交換に対し「メルセデスの高い信頼性を見てきた者」として驚き
──レッドブルはマシンもドライバーも白基調の特別カラーリングですが、チームの反応はいかがでしょう?

田辺TD:今年も日本GPが中止になったわけですが、さらに一丸となって頑張っていこうという雰囲気でした。ドライバーは自分たちの着ているレーシングスーツもマシンカラーリングも「綺麗だね、いいね」と、非常に気に入っていましたね。

──田辺TD自身は、このカラーリングのマシンが実際に走っている姿を見て、どんな気持ちでしたか?

田辺TD:ホンダが第1期でF1に挑戦した当時のカラーリングを模しているわけですが、素直にきれいだなと思いました。映像でも非常に目立っていました。チームとの一体感もいっそう深まった印象でうれしかったです。

──最大のライバルであるルイス・ハミルトン(メルセデス)がエンジン(ICE)交換で10グリッド降格ペナルティを受けます。

田辺TD:ここ数年のメルセデスの高い信頼性を見てきた者として非常に驚いています。我々が有利な状況なのは確かですが、前戦のマックス(・フェルスタッペン)が最後尾から2位表彰台を得た例もあります。この状況をしっかりと結果に結びつけられるようにしなければと思っています。

──パワーユニット全交換ではなく、エンジンのみ交換というのは非常に珍しい例です。どう捉えたらいいのでしょうか? エンジンのみの交換によって、メルセデスは自分たちの弱点がまさにそこにあると白状しているような感じですが。

田辺TD:真意はメルセデスにしかわからないと思います。ただ、戦う側としてはダメージは最小限に抑えたいと思うのが普通です。トラブルがICEにあるとわかったところで、それがどんな影響を与えるか、とにかくミニマムペナルティに抑えたいというのが、あの1ユニットだけの交換ということではないのでしょうか。終わってみないとわからないレースに向けて最善を尽くすというのが、取るべき作戦だろうと。シーズンもここまで進むと、3基目までの使い方で各ユニットの信頼性も十分わかっているはずです。それでICE以外はやりくりで最後までなんとかなると踏んだのでしょう。