10月9日、FIM世界耐久選手権(EWC)2021シーズン第4戦モスト6時間耐久ロードレースの決勝レースがチェコのオートドローム・モストで行われ、BMW M1000RRを走らせたBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(イルヤ・ミハルチク/マーカス・ライターベルガー/ケニー・フォレイ組)が初優勝を飾った。

 シリーズチャンピオンは第1戦ル・マン24時間、第3戦ボルドール24時間で完全勝利を収め、今大会で3位フィニッシュしたヨシムラSERT Motul(グレッグ・ブラック/チャビエル・シメオン/シルバン・ギュントーリ組)が獲得した。タイトル獲得は、Suzuki Endurance Racing Team(SERT)としては2連覇で通算17度とEWC最多、今季から体制を変更したヨシムラSERT Motulとしては初となる。

 第4戦モスト6時間は、7月から11月に延期された後、開催中止となった鈴鹿8耐の代替としてカレンダー入りした。また、当初、モストでは8時間レースが予定されていたが、サーキットの騒音規制やライダーの安全のために十分な明るさを確保するため、6時間レースに短縮されている。

 24台が出場し、現地時間11時にドライコンディションでスタートした決勝レース。ポールポジションのYART - Yamaha Official Team EWC(YARTヤマハ)はエンジンがすぐに始動せず、今大会も大きく出遅れ、1周目に20番手までポジションダウンした。

 ホールショットを奪ったのはヨシムラSERT Motulで、F.C.C. TSR Honda France(TSRホンダ)、Wojcik Racing Teamと3台がトップ集団となりレースを引っ張る。

 オープニングラップはTSRホンダがトップを奪い、ヨシムラSERT Motulが2番手となる。その後ろにBMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(BMWモトラッド)、WEBIKE SRC KAWASAKI FRANCE TRICKSTAR(SRCカワサキ)、TATI TEAM BERINGER RACING、MOTO AIN、VRD IGOL EXPERIENCESと続く。

 5ラップ目にはBMWモトラッドが追い上げ、Wojcik Racing Teamを抜いて3番手に浮上し、4台のトップ集団に。レース開始10分の8ラップ目にはYARTヤマハが6番手まで順位を回復。翌周にはSRCカワサキもかわし5番手になった。

 レース開始15分にはトップ集団もポジションを入れ替え、BMWモトラッドが先頭、TSRホンダ、Wojcik Racing Team、ヨシムラSERT Motulと続く。上位の変動はなく進んでいき、SRCカワサキがMOTO AINを抜き6番手に浮上した。

 35分後には、BMWモトラッドが後続に2秒差をつけて単独でトップを快走。開始40分にはTSRホンダ、Wojcik Racing Team、ヨシムラSERT Motulの集団にYARTヤマハが近づき3台を順番に抜いた。そのため、トップからBMWモトラッド、YARTヤマハ、Wojcik Racing Teamと順位が変動した。

 最初となるルーティンのピットでは、開始45分後の28周目にERC Endurance Ducati(ERCドゥカティ)、29周目にMOTO AIN、30周目にWojcik Racing Team、VRD IGOL EXPERIENCESが入る。そして32周目にTSRホンダ、33周目にYARTヤマハ、34周目にSRCカワサキ、35周目にBMWモトラッドとヨシムラSERT Motulとチームごとに作戦が異なった。また、YARTヤマハはライダー交代の際になかなかエンジンがかからずに少しタイムをロスした。

 開始1時間時点の順位はBMWモトラッド、TSRホンダ、ヨシムラSERT Motul、Wojcik Racing Team、SRCカワサキ、YARTヤマハ、ERCドゥカティ、MOTO AIN、VRD IGOL EXPERIENCES、TATI TEAM BERINGER RACINGというトップ10となった。

 1時間4分、8番手のMOTO AINが緊急ピットインをしてリヤタイヤを交換したため15番手までポジションを落とした。その後は多少の順位変動がありながらも大きく展開が動くことはない。

 1時間47分、2番手のTSRホンダが2度目のピットイン。今大会、唯一参戦している日本人ライダーである高橋裕紀に交代するも、アウトラップの7コーナーでリヤを滑らせ転倒を喫する。その後、ガレージにマシンを入れ修復する。

 1時間50分を過ぎるとほとんどのチームが2度目のピットインを行い、燃費の良いトップのBMWモトラッドが最後にライダー交代を行った。その後、2番手のヨシムラSERT MotulをYARTヤマハがオーバーテイクしていく場面も見られた。

 開始2時間時点の順位は、トップは変わらずBMWモトラッド、YARTヤマハが2番手まで浮上し、3番手はヨシムラSERT Motul。4番手以降はSRCカワサキ、Wojcik Racing Team、VRD IGOL EXPERIENCES、ERCドゥカティ、ここからは1ラップダウンでTATI TEAM BERINGER RACING、MOTO AIN、No Limits Motor Teamと続く。

 TSRホンダはマシン修復に17分ほどかかり、2時間7分が過ぎた時点で高橋が23番手でコースイン。そして、数分後に8番手のTATI TEAM BERINGER RACINGが20コーナーで転倒を喫してピットに戻り、12分修復に時間を費やして22番手でコースに戻った。

 レース折り返しとなるスタートから3時間後、10周目から110周目までBMWモトラッドがトップを譲らずリード。以降は3度目のピットのタイミングで順位が入れ替わることもあったが、YARTヤマハ、ヨシムラSERT Motul、SRCカワサキまでが同一ラップで争っている。1周遅れは、ERCドゥカティ、Wojcik Racing Team、VRD IGOL EXPERIENCESとなる。

 3時間30分、8番手のMOTO AIN、12番手のBMRT 3D MAXXESS NEVERSが単独でクラッシュ。MOTO AINはマシンが途中で止まったが、押して戻った。

 3時間55分、ヨシムラSERT Motulのチャビエル・シメオンがあわや転倒寸前に。そんななか、唯一ヨシムラSERT Motulとチャンピオン争いをしていたVRD IGOL EXPERIENCESのマシンから白煙が上がり、エンジンブローでマシンストップ。コースにオイルが出ていたためセーフティカーが導入された。

 また、ピットのタイミングも重なり、トップがBMWモトラッドからYARTヤマハに変わる。20分ほどセーフティカーランが続き、4時間15分からレースが再開され、BMWモトラッドがトップに戻った。しかし、レース再開後はすぐに、転倒後コースに戻っていたMACO RACING Teamのマシンから白煙が上がり、オイルが撒かれたため4時間18分に2度目のセーフティカーがコースに入った。

 2度目のセーフティカーラン中には、20番手まで挽回していたTSRホンダが緊急のピットインする。1時間ほどピットに留まっていたVRD IGOL EXPERIENCESは完走を目的にコースに戻りマシンを押して進む。さらに、BMRT 3D MAXXESS NEVERSが転倒してしまった。そして4時間31分にレースが再開した。

 レース開始から5時間が経過して残り1時間となっても、BMWモトラッドがトップを維持。同一周回にYARTヤマハ、ヨシムラSERT Motul、SRCカワサキと続き、Wojcik Racing Teamが1周遅れ、ERCドゥカティが2周遅れだ。

 また、残り1時間を切ると各チームが最後のピットインをして、フィニッシュするライダーにバトンを繋ぐ。残り30分となると、トップのBMWモトラッドとYARTヤマハの差が10秒を切り、優勝争いが激化する。

 YARTヤマハは残り20分時点でBMWモトラッドまで約6秒まで差を縮める。残り10分ではトップ2のタイム差が約3秒となる。残り3分では約1秒差となり、スプリントレースのようにBMWは逃げ、YARTヤマハはファステストラップを記録して追いかける展開に。

 そしてスタートから6時間が過ぎてラストラップとなり、213ラップを周回したBMWモトラッドが逃げ切り、5回のピットで2021年のEWCモスト6時間を制覇した。2019-2020シーズンからEWCにワークスチームとして参戦を開始したBMWモトラッドは、昨シーズンは2度、今季も2度表彰台を獲得しているが、これまでの表彰台は4度ともに3位だったため、初優勝となる。

 そして2位は6度のピットで0.070秒差のYARTヤマハ、3位が5度のピットで1ラップダウンのヨシムラSERT Motulと続いた。SSTクラスのトップは総合7位のNo Limits Motor Teamとなった。TSRホンダは2度目の緊急ピットインからマシンが直ることはなく24位となった。

 また、ヨシムラSERT Motulは第1戦ル・マン24時間、第3戦ボルドール24時間で完全勝利を収め、今大会で3位フィニッシュしたためシリーズチャンピオンを獲得している。