苦戦が予想された2021年F1第16戦トルコGP。優勝こそ叶わなかったものの、レッドブル・ホンダが今季2度目のダブル表彰台を獲得した。さらにルイス・ハミルトン(メルセデス)が5位に終わったことで、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は再びタイトル争いのトップに立った。

 ホンダにとっては、スペシャルカラーリングで臨んだ特別なレースでもあった。鈴鹿サーキットと繋いだ事前イベントでのファンの熱い気持ちに、「ちょっとウルっときてしまった」というホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター。「負けたとはいえ最高のパフォーマンスを引き出せた日になった」と、今回のレースを総括した。

────────────────────

──非常に難しいコンディションのレースで、ダブル表彰台を獲得しました。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):ウエットレースは正直予想していませんでした。弱い霧雨が降り続け、最後まで路面が改善されない展開となりました。ただ、土曜日の雨のFP3では4台ともにいい走りができていました。そしてレッドブル・ホンダは今季2度目のダブル表彰台を果たすことができました。残念ながら優勝は逃しましたが、今週末はずっとメルセデスの速さに追いつけませんでした。その意味では、我々の持つポテンシャルを最大限発揮できたレースだったと思います。

──アルファタウリ・ホンダについてはいかがでしょうか?

田辺TD:(ピエール・)ガスリーは5秒ペナルティを科され、最後は追い上げたものの6位。角田(裕毅)はスピンを喫して14位でした。ここ数戦ちょっと奮わないレースが続いただけに、予選パフォーマンスを含め、今後に期待できるレースだったと思っています。

──前戦ロシアGPでのマックス・フェルスタッペンは最後尾からの2位でした。今回の2位は、ロシアGPと比較してどんな位置付けですか?

田辺TD:今週末のメルセデスは本当にポテンシャルが高かったと思います。11番手スタートの(ルイス・)ハミルトンも、表彰台に上がる可能性は十分にありました。序盤に角田が8周ほど抑えたのは素晴らしかったですが、その後のハミルトンは一気に順位を上げていきました。そんなメルセデスに対し、ドライバーもチームもきっちりレースをコントロールできていました。同じ2位ですが、非常に重みのある結果だったと思っています。

──ハミルトンのエンジン交換は、新品の方が馬力があるからという話でした。しかし田辺TDは以前『フレッシュエンジンだからといって、必ずしも馬力があるとは言えない』と言っていたと思います。

田辺TD:もちろん使用による劣化はありますが、それも見据えて年間の使い方を工夫しています。あくまで我々のエンジン単体に限った話で言うと、あえてグリッド降格ペナルティを受けてまで新エンジンに交換する方が得だと言い切るだけの計算式は成り立ちません。

──今回は特別カラーリングの存在もあり、田辺TDはいつも以上に気持ちを入れて戦うとレース前に言っていました。終わってみて、やり切ったという気持ちですか?

田辺TD:レース前に日本と繋いだライブイベントがあり、そこでちょっとウルっとしたことがありました。というのも、そのイベントで鈴鹿サーキットのグランドスタンドの状況が映りました。レースが行われない鈴鹿サーキットでホンダやレッドブル、アルファタウリのウェアを着たファンの方たちが多数いらしていました。これには正直びっくりしましたし、うれしかった。ウルっとくるぐらいうれしかったです。

 レースで望むべくは優勝でしたが、そこは達成できませんでした。それでもきっちり、ウエット路面への対応を含め、変なドタバタもなく対応できました。表彰台に白いレーシングスーツを着たふたりが立ち、下に置かれたマシンの『ありがとう』の文字も何回も映し出されました。我々が今持っている実力のなかでは、負けたとはいえ最高のパフォーマンスを引き出せた日になったと思います。