レッドブルF1のチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、F1第15戦トルコGP終盤にルイス・ハミルトン(メルセデス)がタイヤ交換のためのピットストップを行わなければならなかったことを疑問に思ってはいない。

 ハミルトンは予選でトップに立ったものの、4基目のICEを投入したために10グリッド降格ペナルティを受け、日曜日のレースは11番グリッドからのスタートになった。首位を走るドライバーたちがピットストップを行うまでに、ハミルトンはバルテリ・ボッタス(メルセデス)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)の後ろで4番手を走行していた。

 当初ハミルトンは、新品のインターミディエイトタイヤに交換するためのピットストップの呼びかけに抵抗していた。ステイアウトしてフェルスタッペンにプレッシャーをかけ、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)の前のポジションを維持することを狙っていたのだ。しかしホーナーは、それは決してうまくいかなかっただろうと確信していた。

「私は彼らのピットウォールにいたわけではないのでコメントすることは当然ながら難しいが、私にはルイスがチームに反対しているように聞こえた」とレース後にホーナーは『Sky Sports F1』に語った。

「話すのは難しいことだ。ある時点で、『彼は最後までたどり着くだろう!』と思う。(しかし)我々が見て取れたのは、あれらのタイヤがかなり危険な状態になっているということだった。だから彼はピットストップを行わないわけにはいかなかった」

「彼らがピットストップを行ったタイミングは、明らかに我々に最大のアドバンテージをもたらした。その時点で、シャルルも同様だったが、タイヤはオーバーヒートを起こし、ひどくブリスターが出ていたため、ペースが失われていた」

「我々にとって重要な瞬間となったのは、チェコ(セルジオ・ペレス)をいつピットストップさせるかという時だった。ルイスを抑えるために彼をステイアウトさせておくこともできた。(その代わりに)我々は彼があの順位を確実に保持できるようにピットストップさせた。なぜなら我々はあれらのタイヤがレースの最後までもつとは考えていなかったからだ」

■「スリックに変えることになるとは考えなかった」とレッドブルF1代表

 ある時点では、ハミルトンがチームと議論しているのが聞かれていた。ハミルトンは、インターミディエイトに交換するのではなく、コース上にドライなラインが現れてスリックタイヤに交換できるタイミングが出てくることに望みをかけ、ステイアウトすべきだとしていた。

 しかしホーナーは現実的な可能性としてその内容を却下した。

「ドライバーと話すことで我々はフィードバックを得る。タイヤと走行する時間の長さを考えれば、スリックに変えることになるとは決して考えなかった」

「これらのタイヤは段階を踏まなければならない。あのスリックタイヤは、仕上げを行うようなことをしなければならないのだ。あまりに早い段階から酷使しないことが重要だ」

「それがまずマックスのタイヤを変え、その次に『OK、順位を守ろう』と決めてチェコのタイヤを変えた理由だ。そしてルイスはコース上で彼を抜かなければならなくなった」

 F1公式サプライヤーのピレリはホーナーの判断に同意しており、マリオ・イゾラはメルセデスが全走行距離をハミルトンに走らせ続けるのは大きな賭けになっただろうと語った。

「レース後のタイヤを見たが、私だったらノーと言うか、少なくとも限界だ、と言っただろう」とピレリのF1責任者イゾラは『Sky Sports F1』に語った。

「今日のように限界までプッシュするのは少々危険だ」

「レースコンディションのなかで彼らが最大限の結果を出さなければならないことは完全に承知している。マシンはそれぞれ違っている。つまり磨耗のレベルは、レース中にどれだけプッシュしたかによって違いが出る」

「しかし多かれ少なかれ、タイヤはコードを露出させていた。特にレースの終盤にはタイヤは磨耗し、彼らは基本的にはコンストラクションで走行している」

 遅れたピットストップにより、ハミルトンはルクレールの後ろの5位にまで順位を落とした。3位の座はペレスに渡り、彼は表彰台に正式に加わった。ホーナーは「チェコは今日素晴らしい仕事をした」と語り、重要なレース中盤において順位を上げてくるハミルトンを阻止したペレスの仕事ぶりを称賛した。

 今回の結果により、フェルスタッペンはドライバーズランキングでハミルトンに6ポイント差をつけたものの、コンストラクターズ選手権ではメルセデスがレッドブルに対するリードをわずかに広げたことになった。