劇的な逆転タイトルの要因ともなったDTMドイツ・ツーリングカー選手権最終戦ノリスリンク・ラウンドでの接触行為について、ケルビン・ファン・デル・リンデが自らのソーシャルメディアへ投稿。接触相手のリアム・ローソンと話し合いを持ち、謝罪したことを明らかにした。

 10月9〜10日にドイツ・ノリスリンクで行われたDTM第8ラウンド。ランキングリーダーのローソン(レッドブル・AFコルセ/フェラーリ488 GT3 Evo)は、土曜日のレース1予選でポールポジションを獲得。予選2番手に並んだのはランキング2位でローソンを追うファン・デル・リンデ(アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)だった。

 レース1のスタートでは、やや出遅れたファン・デル・リンデが1コーナーのヘアピンでレイトブレーキングを仕掛けるが、ローソンのマシン側面にわずかに接触しながらオーバーシュート。ファン・デル・リンデは大きく順位を落とし、ローソンもこの接触によってポジションを失っていた。

 ローソンは結局3位でフィニッシュし、4位まで追い上げたファン・デル・リンデとの差をわずかに拡大。しかしランキング3位のマキシミリアン・ゲーツ(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)が優勝し、ふたりとの差を縮めてきていた。

 日曜日のレース2、ローソンはライバルふたりの前でゴールすればタイトルは確実、ファン・デル・リンデとゲーツは優勝することが最低条件となっており、この時点でもローソンが有利な状況にあった。

 だが、同じくローソンが予選PP、ファン・デル・リンデが予選2番手となったレース2のスタートでは、まるで前日のリプレイかのように出遅れたファン・デル・リンデが突進。1コーナーイン側の縁石のさらに内側からローソンに強引に仕掛けるも、両車は接触。ファン・デル・リンデが5秒加算のペナルティを受けながらも上位でレースを続けた一方、ローソンはポイント圏外の最下位に転落してしまった。


 その後、接触のあったファン・デル・リンデが最終的にノーポイントに終わったこと、そしてメルセデス勢の援護もあり、このレースでも優勝を遂げたゲーツが、大逆転で2021年のDTMタイトルを獲得した。ローソンがランキング2位、ファン・デル・リンデは同3位でシーズンを終えた。

 レース後、ローソンは「同じドライバーに、またしてもコース外に追いやられた。しかもレースの1周目のターン1でのことだ。なんと言えばいいんだ」と憤りを露わにしており、シーズン表彰式でもふたりのドライバーには明らかな距離感があった。

 しかし、10月13日になってファン・デル・リンデが自らのTwitterに投稿したところによれば、両者は12日の夜に直接話し合い、ファン・デル・リンデはローソンに対し謝罪したという。

「日曜日のレースのあと、僕はソーシャルメディアから離れることを決め、起こったことすべてを反省することにした」とファン・デル・リンデは綴っている。

「そのなかで、もっともこの謝罪を受けるに値する人物に、確実に連絡を取りたいと思った。リアムと僕は、昨夜話をした」

「僕たちは、起こったことすべてについて話をした。僕は、彼のチャンピオンシップを犠牲にした行為について、謝罪した」

「また、レース直後のメディアに対する振る舞いについても謝罪した。僕はアドレナリンにあふれていて、何が起きたのかをTVで確認せず、クルマから降りた直後には(報道陣の)マイクが顔に向けられていた。僕はそれをうまく扱うことができなかったし、そのことについては満足していない」

 ファン・デル・リンデはまた、レース後に自らがソーシャルメディアを通じて受けた誹謗中傷についても、次のように記している。

■「背後にはリアルな人間がいることを忘れないで」
「スポーツの側面からは、誰もが自分の意見を述べる権利はある。僕らドライバーは、一瞬のうちにイチかバチかの決定を下すことを余儀なくされる。それらは常に正しいとは限らず、しばしば深刻な結果ももたらしてしまう」

「先週、僕が受けた社会的虐待は、悲しい後味を残し、処理するには時間が必要なものだった。それらのことを書き込む必要性を感じた人たちに僕が言える唯一のことは、『あなたは僕を知らない』『あなたは僕の家族を知らない』『あなたは間違いなく、僕の靴を履いて一日を過ごしたことはない』ということだけだ」

「スポーツは、スポーツだ。だけど、その背後にはリアルな人間がいるということを、決して忘れてはいけない。僕はその種のことを、どんな人間にも望んでいない」

 なお、ノリスリンクでのレースに先立ち、ファン・デル・リンデは2022年シーズンもアプト・スポーツラインからDTMに継続参戦することが発表されている。

「僕は来年、ここに戻ってくる。いろんなことを、もっと良くできるだろう」