WRC世界ラリー選手権第11戦スペインは10月15日、競技初日のSS1〜6が行われ、ヒュンダイのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が、1日の終盤にエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)を逆転してデイ1首位に立った。

 2019年以来、2年ぶりの開催が実現するとともに、グラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)の“ミックスサーフェス”からオールターマックラリーへと姿を変えた『ラリー・スペイン』の競技初日が、サービスパークのあるサロウの北西エリアで行われた。

 1日をとおして晴天に恵まれた15日は、3本のステージを日中のステージを挟んで各2回走行するスケジュールで進められた。そんなデイ1のオープニングを含む序盤3本のSSでは、前戦フィンランドで今季2勝目を挙げたエバンスが3ステージ連続でベストタイムを記録。ラリー序盤戦の主導権を握った。

 このウェールズ人ドライバーに続いたのは、前回のラリー・スペインを制したヌービルだ。彼はSS3でやや後れたものの、SS1は2番手、SS2ではエバンスとトップタイムを分け合うなど上々の立ち上がりを見せ、午前中のループを終えた時点でエバンスと7.9秒差の総合2番手につけた。

 そのヌービルはサービスでマシンのセットアップを変更。これが彼にドライビングに自信を与えることになった。ヒュンダイi20クーペWRCを駆るベルギー人はSS4でステージベストタイムを刻むと、首位と7.6秒差で迎えた続くSS5では後続を7.9秒引き離す圧巻のタイムを記録して総合トップに躍り出る。
 
 1日の最後のSS6で早くも今大会4本目のステージベストタイムをマークしたヌービルは、午後の3SSをいずれも2番手タイムで終えたエバンスを0.7秒リードしてデイ1を終えている。

「午前中はアンダーステアに悩まされ、午後に向けてそれを解決しようとしていた」と語るのは、大会2連覇を狙うヌービルだ。

「僕たちは良いステップを踏み出した。それがより速く進むことができた理由だが、もっと多くのことを取り出すことができると感じているから、明日はさらに別のステップを踏みたいと思っている」

 ヌービルとエバンスによる激しい首位争いの後方には、今戦の結果次第では通算8度目のワールドチャンピオン獲得が決定するセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合3番手つけている。トップから19.4秒の後れを取った王者と“地元のヒーロ”である4番手ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)のギャップは5.4秒だ。

■勝田貴元とオット・タナクがクラッシュ

 初日5番手となったカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)は、ピレリの新しいPゼロ・ハードタイヤの特性を理解するのに苦労し、首位と38秒差、ソルドからは13.2秒遅れた。

 Mスポーツ勢はともにトップから1分以上のギャップを築かれ、アドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)が総合6番手、ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)は総合7番手となっている。総合8番手は今戦WRカーで参戦しているオリバー・ソルベルグ(ヒュンダイi20クーペWRC)、母国でWRカーデビューを果たしたニル・ソランス(ヒュンダイi20クーペWRC)が9番手だ。10番手にはWRC2クラス首位のエリック・カミリ(シトロエンC3ラリー2)がつけた。

 一方、オールターマックという条件から好成績が期待された勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は、既報のとおりSS1でクラッシュを喫し、マシンの左フロント部をダメージを負ってデイリタイアに。勝田は事故後、自身のTwitterを更新し、「ペースノートのコールを勘違いし、オーバースピードでバリアにヒット」したと状況を説明している。

 また、この競技初日では2019年王者オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)が2度のアクシデントを起こし戦列を離れることになった。ヒュンダイのダブルエースの一角はSS2でのスピン後、ラリーに復帰していたがSS4でふたたびコースアウト。このアクシデントによってi20クーペWRCのシャシーが損傷したため、リタイアを余儀なくされている。

 ラリー・スペインの競技2日目、16日(土)のデイ2はサービスパークの北東エリアで、前回大会でも使用された定番の3本のターマックステージを日中のサービスを挟んで各2回走行する。また、1日の最後にはサロウの海岸近くで全長2.24kmの市街地ステージも行われる予定だ。計7本のSSの合計距離117.45kmは今大会最長。リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は491.33kmだ。