2021年F1第18戦メキシコGP初日、ホンダ勢は最速だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を筆頭に、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)4番手、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)6番手、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)8番手と、トップ8に4台が入る速さを見せた。とはいえホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは、「まだあくまで初日ですから」と、いつもながら慎重な姿勢を崩さない。

 一方で角田に4基目のパワーユニットを投入したことについては、「ちょっと後ろ髪を引かれる交換でした」と、難しい決断だったことを窺わせていた。

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──初日から観客席は大盛り上がりでした。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):そうですね。(セルジオ・)ペレス選手がコースに出るたびに、ファンのみなさんが手を振ったり大きな歓声をあげたり、我々としても非常に強いサポートを感じました。

──そのなかでホンダ製パワーユニットを搭載する4台は、しっかり結果を出すことができました。

田辺TD:FP1でペレス選手がスピンしてリヤウイングを壊したりもしましたが、そこから挽回できましたね。4台ともに予定したプログラムを消化し、あくまでFP1ではありますが、ペースの上でも非常によかった。出だしとしては、いい1日でしたね。

──角田選手はパワーユニットを全交換しました。

田辺TD:はい。大変残念なのですが、今季残り5戦を見据えて、信頼性とパフォーマンスの兼ね合いから、4基目を投入しました。グリッド降格ペナルティが決まっていますので、予選よりはレースペースをきちんと確保していく。そんなプログラムを行うということでしたが、ペース的にも非常にいいところに来ていました。トップ8にホンダ勢が4台入ることができました。

──パワーユニット側で気をつける点はありますか?

田辺TD:高地で空気が薄いということで、ターボのセッティングだったり、冷却系の対応ですね。基本的なセッティングがしっかり機能してくれて、大きな問題は発生していません。今週末は日曜日まで晴れが続き、外気温も20度前後という予報です。なので予選とレースに向けては、今日のデータが十分活用できると思います。

■「角田を含め、すべてのPUは最終戦まで不安はない状況」

──「走ってみないとこのコースでの力関係はわからない」とのことでしたが、どんな感触を得ることができましたか。

田辺TD:まだ初日ですし、これからですね。出だしとしてよかったというだけで、他チームもこれからしっかり仕上げてくるでしょう。

──ホンダは新しいES(エナジーストア)を開発して、他の3台には投入されています。今回、角田選手に入れなかった理由は?

田辺TD:ロジスティック的な理由から、投入を見送りました。パワーユニットは非常に複雑な生き物で、この先何が起きるかわからない。とはいえ今回交換した角田選手を含め、全PUはこのまま最終戦まで不安はない状況です。

──できれば角田選手にも入れたかった、というのが本音ですか。

田辺TD:……本音、です(苦笑)。

──ロジスティック的な理由というのは、ヨーロッパラウンドだったら投入できていたのでしょうか?

田辺TD:そうですね。バッテリーというのは非常に特殊な輸送許可を取る必要があって、なかなかハードルが高かったです。

──角田選手の場合はこのまま3基のパワーユニットでいけなくもないけれども、4基目を入れた方がいいという感じだったのでしょうか? それとも3基では、かなりギリギリだったのですか?

田辺TD:ちょっと後ろ髪を引かれるタイプの交換でした。ただこれで残り5戦、全力で戦える形を整えることができた。そういうことになりますね。