2021年F1第17戦メキシコGPの予選ではメルセデスにフロントロウを独占されたレッドブル・ホンダだったが、決勝レースではマックス・フェルスタッペンが1コーナーのブレーキングで2台をかわして首位に。そのままルイス・ハミルトン(メルセデス)を引き離し、独走で今季9勝目を飾った。セルジオ・ペレスも3戦連続の3位表彰台、そんな戦いをホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは、「レッドブル・ホンダというチームが強くなったことを実感している」と振り返った。

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──メキシコGPでの勝利は1989年以来32年ぶり、そしてマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)の年間9勝は、1988年のアイルトン・セナの年間8勝を上回る最多勝記録です。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):レースでのフェルスタッペンは、スタートでうまく前を行く2台のメルセデスのスリップストリームについて、さらにブレーキングで首位に躍り出ました。バルテリ・ボッタス(メルセデス)がスピンで後退したこともあって、(セルジオ・)ペレス3番手、(ピエール・)ガスリー4番手に順位を上げました。ペレスはその後何度もハミルトンに迫ったのですが、抜ききれませんでした。そこは残念でしたが、3戦連続のダブル表彰台を獲得できました。いいレースができたと思います。

──ガスリーもフェラーリの追撃を振り切って4位に入りました。

田辺TD:はい。ホンダ勢3台が1、3、4位という結果は本当によかった。角田(裕毅)はスタート直後のボッタスのスピンで混乱が起きたなか、逃げどころなく追突されてリタイアとなりました。車は非常によかったですし、最後まで走って長いレースでの経験を積んで、いい走りを見せてほしかったですが、それはかないませんでした。

──フェルスタッペンはタイトル争いでハミルトンとの差を広げ、逆にコンストラクターズ選手権ではレッドブル・ホンダがメルセデスの1ポイント差まで迫りました。

田辺TD:ハミルトンが2位に入っているので、どんと引き離すところまでは行きませんでしたが、首位はキープできています。コンストラクターズ選手権で一気に差が詰まっているのは、ここ数戦でしっかりチームプレイができている賜物で、いい形ですね。アルファタウリ・ホンダも、5位アルピーヌに並びました。残りの4戦、まだまだ長い戦いですが、さらにはずみをつけて全力を尽くしていきたいと思います。

──メキシコはホンダ初優勝の地でもありますが、そこで再び優勝できたことへの想いはいかがですか?

田辺TD:ホンダが初めて勝ったメキシコで、我々の挑戦の最後の年に勝てたことは非常に嬉しく思っています。メキシコの観客のみなさんは超満員で、ものすごい応援をいただいた。ペレスは残念ながらハミルトンを抜くことはできませんでしたが、非常に力強いレースでした。前回と同じ1、3位とはいえ、レッドブル・ホンダというチームが強くなったことを実感しています。

──レースペースの速さを見る限り、ホンダ製パワーユニット、特にターボの優秀さが改めて証明されたレースと言えるのでは?

田辺TD:そこは常々言っているように、車体、パワーユニットを切り離して言及するのは難しい。メキシコという空気の薄い高地でも今回勝てたのは、レッドブル・ホンダのドライバーも含めたパッケージとしての強さゆえと思っています。一方でメルセデスも、ハミルトンが予選でもレースでもあの位置で戦っているわけで、単純にターボが優れているとか、そういうことは言えないでしょうね。

──ハミルトン追撃体制に入ったペレスが、「エンジンはどう?」と訊いてました。あれを訊いた時、どう思いましたか。

田辺TD:普通ドライバーから「エンジンが」と無線で言ってくるときは、調子が悪いとかネガティブな内容が多い。なので今回も一瞬ドキッとしました。ですがメンバーもデータを見ていますから、異常がないのはわかっていた。むしろペレスのその言葉を聞いて、あ、ここから行く気だなと思いました。

──次戦ブラジルも高地のレースですが、やはりレッドブル・ホンダ有利でしょうか。

田辺TD:ブラジルも高地ですが、標高800mですからエンジン的にはほとんど平地に近い。プチ高地という言い方をしたりしますが、オーストリアと似たようなものですね。確かに過去にいい戦いをしていますが、実際に走ってみないとわからない。そこは今回と同じです。