11月21日、スーパーバイク世界選手権(SBK)第13戦インドネシアがプルタミナ・マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットで行われ、トプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)がチャンピオンに輝いた。インドネシアラウンドは天候によりスーパーポール・レースがキャンセルされ、日曜日に決勝レース1、2が実施。レースはともにジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が優勝している。

 また、唯一の日本人ライダーとしてSBKに参戦する野左根航汰(GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)はレース2で自己ベストリザルトとなる7位フィニッシュを果たし、ランキング14位でシーズンを終えた。

 2021年シーズンのタイトル争いは最終戦までもつれこんだ。第12戦アルゼンチンを終えて、ランキングトップはトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)、ランキング2番手はジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)。両者のポイント差は30ポイントという状況で、最終戦を迎えた。

 なお、今大会はアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)がフリー走行3回目の転倒で負った右肩の脱臼により、レオン・ハスラム(チームHRC)は先月下旬に受けた右腕の手術からの回復が完全ではないために欠場している。

■レース1:2位でタイトルを獲得したラズガットリオグル。三つどもえの戦いで意地を見せたレイ
 土曜日に予定されていたレース1は激しい雨のために日曜日のスーパーポール・レースがスケジュールされていた現地時刻11時に延期されることになった。このため、インドネシアラウンドのスーパーポール・レースは中止となっている。

 あらためてレース1が行われた日曜日は、スタート時刻である現地時刻11時に近づいたころに再び雨が落ち始め、この影響で15分遅れで21周から20周に減算されて始まった。コンディションは気温30度、路面温度39度のダンプコンディション。フロントロウからスタートしたのは、スーパーポールでポールポジションを獲得したラズガットリオグル、2番グリッドのレイ、3番グリッドのレディングである。

 絶好のスタートを切ったのは2番グリッドスタートのレイで、2番手にレディング、ラズガットリオグルは3番手に後退する。しかし、ラズガットリオグルが1周目で早くもレディングをかわして2番手に浮上。レイを追う。

 トップのレイと2番手のラズガットリオグルは3番手のレディング以下を引き離しながらトップ争いを展開。3周目、1コーナーのブレーキングでラズガットリオグルがレイの前に出ることに成功し、トップに立った。

 3番手のレディングはアクセル・バッサーニ(モトコルサ・レーシング)、トム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)とともに僅差の3番手争いを繰り広げ、3周目にバッサーニがレディングをかわし、3番手に浮上すると、2番手のレイに迫る。

 バッサーニのペースはレイを上回っており、4周目にはレイをパス。2番手に浮上した。さらにバッサーニは5周目にトップのラズガットリオグルをもオーバーテイクし、トップに立った。バッサーニ、ラズガットリオグル、レイはもつれあうように接戦のトップ争いを繰り広げる。

 一時3番手に後退したレイは5周目にラズガットリオグルとバッサーニをかわして再びトップに立った。レイとしてはレース2にタイトル獲得の望みをつなぐには、優勝するしかない。レイ、ラズガットリオグルの接戦のトップ争いを筆頭に、バッサーニ、そして追い上げてきたレディングの4人がトップ集団を形成していた。

 レイはファステストラップを連発しながらトップをキープ。しかし、2番手に続くラズガットリオグルはレイの背後にぴたりとつけると、9周目には10コーナーでレイのインに飛び込み、オーバーテイク。ラズガットリオグルがレイからレースリーダーの座を奪った。

 レイもその翌周の1コーナーのブレーキングでレイのインをうかがうも、ここでは抜くことができない。しかし10周目の最終コーナーでラズガットリオグルが一瞬ラインを外すとレイはこのすきを逃さず、ラズガットリオグルをパスする。ラズガットリオグルはその先の1コーナーでレイの前に出てトップを奪い返す。チャンピオンを争うふたりのライダーが文字通り火花を散らすオーバーテイクの応酬となった。

 11周目、ペースを上げてレイに迫っていたレディングがレイをかわす。レディングはさらにラズガットリオグルを追った。このときラズガットリオグルが再びラインを大きく外してしまう。代わってレディングがトップに、レイが2番手に浮上し、ラズガットリオグルは3番手に後退。レディングとレイから大きく遅れた。

 レイは13周目にファステストラップを叩き出し、レディングを追いかけ続けた。いくつかのコーナーのブレーキングでレディングのインに入ろうとするも、レディングがラインを締めてブロックする。しかし残り5周、レイがついにレディングをかわした。

 レディングは2番手に後退すると、レイから遅れていく。それとは反対に一時は1秒以上あったラズガットリオグルとの差がどんどん詰まっていった。残り3周、ラズガットリオグルがレディングをオーバーテイクし、2番手に浮上する。レイが優勝しても、ラズガットリオグルが2位でフィニッシュすれば、ラズガットリオグルのチャンピオンが決まるという状況だ。残り3周、トップはレイ、その約1秒後方に2番手のラズガットリオグル、3番手のレディングが続く。

 レイは終盤のオーバーテイク以降、トップを守って激戦のレース1で優勝を飾った。ラズガットリオグルは2位。この結果により、ラズガットリオグルは2021年シーズンのSBKチャンピオンを獲得した。2018年からSBKへの挑戦をスタートさせ、2020年からはヤマハのファクトリーチームであるパタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBKに移籍した25歳のライダーがトルコ人として初のチャンピオンに輝いた。また、2015年から続いていたレイのSBKの連覇を6度の記録で止めたライダーとなった。

 ラズガットリオグル、レイと終盤まで優勝争いを繰り広げたレディングは3位。4位はアンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)、5位はバッサーニだった。野左根は16番グリッドから15位フィニッシュし、ポイントを獲得した。

■レース2:降雨により12周のレースに。レイがレディングとの優勝争いを制す
 レース2は前日と同じような状況となった。スタート前に激しい雨に見舞われ、当初のスタート時刻5分前にレースディレイ。ライダーたちは前日同様にピットに戻って待機となる。約1時間20分後、コースコンディションが確認され、レースは21周から12周に短縮して現地時間16時30分スタートで行われることが発表された。

 レースが行われることは決まったものの、雨は降り続き、コンディションはフルウエットという状況。グリッド順はレース1から変更はなく、ポールポジションにラズガットリオグル、2番グリッドにレイ、3番グリッドにレディングが並んだ。

 このレースでホールショットを奪ったのはラズガットリオグル。2番手にレディング、3番手にレイが続く。レイはその後、レディングをかわして2番手に浮上し、さらに16コーナーでラズガットリオグルをパスしてトップに立った。

 難しいコンディションのなかでトップを走っていたレイだが、レディングが3周目に2番手にポジションを上げ、さらにレイをパス。レディングがレースをけん引する。レース1でも度々トップを争ったレディング、レイ、ラズガットリオグルがこのレースでもポジション争いを展開した。その3人のすぐ後ろにはバッサーニ、そしてマイケル・ファン・デル・マーク(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)がつける状況。この5人のライダーがトップ集団を形成する。

 ところがバッサーニが4周目の17コーナーでクラッシュ。バッサーニは17コーナーでラズガットリオグルと軽く接触し、さらに立ち上がりでファン・デル・マークと当たって転倒を喫してリタイアとなった。

 トップを守るのはレディング、その0.2秒後方にレイが続く。レイは7周目にレディングをパスし、トップを奪い返した。一方、3番手のラズガットリオグルはレイからやや離され、ファン・デル・マークと激しい3番手争いを繰り広げる。レイとレディングによるトップ争い、ファン・デル・マークとラズガットリオグルによる3番手争いがそれぞれ展開される。

 さらに、4番手から10秒ほど後方では、16番グリッドからスタートした野左根が大きくジャンプアップを果たして6番手を走行していた。野左根はその後、チームメイトのギャレット・ガーロフ(GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)にかわされて7番手に後退している。

 残り4周、トップのレイと2番手のレディングはまったく同じタイムでファステストラップを記録する。ふたりの差はほぼ変わらないまま、水しぶきを上げながらトップを走るレイ、追うレディング。最終ラップのメインストレートでレディングがレイの前に出ることに成功し、1コーナーの飛び込みでレイをかわす。しかし、レイは10コーナーでレディングからトップの座を奪い返す。

 レディングは16コーナーでレイに仕掛けるもパスしきれず、レイがトップを守り切ってチェッカーを受けた。レイはインドネシアで2勝を挙げ、今季13勝目を挙げた。レディングは2位に終わりランキングは3位。3位表彰台はファン・デル・マークが獲得した。

 ラズガットリオグルは終盤にファン・デル・マークに引き離され、4位フィニッシュ。5位はトム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)、だった。野左根は最終的に7位でフィニッシュを果たし、今季自己ベストリザルトでSBKの1年目のシーズンを締めくくった。2021年シーズンをもって引退を表明しているチャズ・デイビス(チーム・ゴーイレブン)は12位で最後のレースを終えている。

 また、2021年シーズンのマニュファクチャラーのタイトルは、ラズガットリオグル擁するヤマハが獲得している。