FIA新会長モハメド・ビン・スライエムは、2021年最終戦アブダビGP終盤に起こったセーフティカー運用にまつわる混乱について、詳しく調査を行い、問題再発に努めると語った。また、タイトルを逃したメルセデスのルイス・ハミルトンには同情しているものの、彼が2021年FIA授賞式を欠席したことについて、F1レギュレーションに違反しているかどうかを調べ、その結果によってはペナルティを科すとの意向も示している。

 最終戦アブダビGPで、レースを終盤までリードし、8度目のドライバーズタイトルをつかみかけていたハミルトンだったが、FIAレースディレクター、マイケル・マシの判断でセーフティカー出動にまつわる手順が競技規則の文言どおりに行われなかった結果、不利な状況に陥り、王座を逃がすこととなった。

 メルセデスは、これについて正式な抗議を行ったものの、スチュワードから棄却されたため、上訴の意思を表明した。実際に上訴の手続きを進めるかどうかを決める期限が、FIAがチャンピオンたちを表彰する授賞式と同じ12月16日だった。この日、メルセデスは上訴手続きを進めないことを発表、コンストラーズ選手権を制し、ドライバーズ選手権では2位だったものの、チーム代表トト・ウォルフとハミルトンは授賞式を欠席した。

 F1競技規則第6.6条には、「シリーズで1位、2位、3位となったドライバーは、FIA年間表彰式に出席しなければならない」と記されている。

 12年にわたりFIA会長を務めたジャン・トッドが任期満了で退任、その後任に選ばれたビン・スライエムは、FIA会長として行った初めてのメディアとの質疑応答の席で、ハミルトンの授賞式欠席についてこう語った。

「私もドライバーとしては感情的になる。だが、結局のところ、規則は規則だ」と元ラリードライバーのビン・スライエム。

「適用される規則がどこにあるかという面について調べ、彼が違反を犯したかどうかを調べるつもりだ」

「もちろん、我々は規則に従う必要がある。だが一方で、チャンピオンがこのスポーツに満足しなくなるようなことはできない。人に優しくするのはたやすいことだ。人のモチベーションを高めることにもなる。ただ、もし違反があるのなら、それに関して容赦することはない」

「許しというものは常にあるが、規則は規則だ。私がよく言うことだが、規則は作られたのではない。人が作ったのだ。そのため、規則は改善するためにある」

「ルイスが今回起きたことを非常に悲しんでいることを、私は知っている。一言で言えば、彼は打ちひしがれているのだ。それでも違反があるかどうかを調べる必要がある」

「今は何とも言えない。私は会長になったばかりであり、今の段階では、事実を調べることなく答えているのだ」

■セーフティカーにまつわる混乱に関し「改善すべき点が多い」とFIA会長は発言
 ビン・スライエムはまた、批判の的となっている、アブダビGP終盤のセーフティカー手順について、トッド前会長の意向に基づき、事実を調査し、必要な場合は変更を行うと語った。

 規則と異なると指摘されているのは、セーフティカー出動中、すべてのバックマーカーではなく、ハミルトンとマックス・フェルスタッペンに挟まれた一部のバックマーカーのみがリーダーたちの前に出ることを許されたこと、セーフティカーが戻るタイミングが1周早かったことである。その結果、レースはセーフティカー先導のまま終了するのではなく、最終ラップ1周のスプリントレースが行われ、古いタイヤを持たせてレースをリードしていたハミルトンは、フレッシュタイヤに交換したフェルスタッペンに容易に抜かれてしまった。

「これから規則を調べ、今後同様のことが起こった際には、即座に解決策を講じるか、あるいは回避することができると確信している」とビン・スライエム会長。

「改善すべきエリアが多数ある。じっとしているだけで、自分たちは優秀だと言うことなどできない。これほど重く、重要なスポーツでは、それでは十分ではない」

「改善の余地は常にあるものだ。どこを改善すべきかを見ていく必要がある。FIAの信頼性について聞かれるなら、我々は優れた構造と優秀なチームの上に成り立っていると言える」

 マイケル・マシの将来については「自分のチームとの話し合いなしに結論に飛びつくつもりはない」とビン・スライエム会長は語った。
「スタッフと協議し、改善すべきすべての点について調べていくつもりだ」