メルセデスF1チームのルイス・ハミルトンは、2021年最終戦アブダビGP最終ラップで8度目のタイトル獲得のチャンスを失って以来、沈黙を続けている。

 FIAのF1レースディレクターであるマイケル・マシが、自身の判断で、アブダビGP終盤のセーフティカーをF1競技規則に反する形で運用した結果、レースを終始リードしてきたハミルトンにとって著しく不利な状況となり、勝利とタイトルはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のものになった。

 メルセデスはこれに対して抗議したものの、スチュワードから受け入れられず、上訴を検討。しかしFIAがこの件について詳細な調査を行い、改善に努めるという発表を行ったことを受けて、メルセデスは上訴手続きを進めないことを決めた。

 ハミルトンは最終戦直後に短いインタビューに応えたのみで、その後、SNSを含む公式の場での発言を一切行っていない。メルセデスのF1コンストラクターズ選手権8連覇の祝勝会には出席したものの、アブダビ直後のFIA授賞式は欠席した。

 ウォルフは、FIA授賞式直前のインタビューにおいて、彼もハミルトンも、最終戦の結果をもたらした状況から「痛みと苦痛」を被り、「幻滅を感じている」として、ハミルトンは「日曜に与えられた痛みをまだ克服できていない」と述べた。

 さらに「ルイスがレースを続けてくれることを心から願っている。彼は史上最高のドライバーなのだ」とウォルフが語ったことで、ハミルトンが失意のうちに引退するのではないかという見方が広がり始めた。

 元F1商業権所有者であるバーニー・エクレストンは、ハミルトンは2022年にF1に戻って来ることはないとの考えを示している。

 エクレストンは、12月23日に発表された『Blick』でのインタビューのなかで、最終戦の後にハミルトンと話したかと聞かれ、「ノー。だが、数日前に、彼の父親と話をした」と答えた。
「彼は息子の将来について聞いても答えないだろうとすぐに感じたよ。なのでビジネスの話しかしなかった」

 ハミルトンは今後どうすると思うかという質問に対し、エクレストンは「どうするだろうね。だが私としては、彼は戻ってこないと思う」と語った。

「彼の失望はあまりにも大きい。それはある意味、理解できることだ。彼はすでにミハエル・シューマッハーに並び7回の世界タイトルを獲得している。ファッション業界でビジネスを立ち上げるという夢に取り組む時が来たのかもしれない」

 ウォルフ代表は、23日に公開された『Motorsport-total.com』のインタビュー記事のなかで、ハミルトンの沈黙について語った。

「我々全員が、感情のなかで揺れ動いている。ルイスは特にそうだ」

「彼は最終ラップまでワールドチャンピオンシップを手にしていたのに、一瞬ですべてが奪われたのだ。何が起こったのか理解できず、信頼することができなくなってしまう」

「今も沈黙が続いている。なぜなら彼には語るべき言葉がないからだ」

 36歳のハミルトンは、現時点でメルセデスと2023年末までの契約を結んでおり、2022年にはチームメイトにバルテリ・ボッタスに代わりジョージ・ラッセルを迎える。