12月25日、株式会社エヌ・ティー・エス(NTS)はロードレース世界選手権の中量級Moto2クラスに、日本唯一のコンストラクター『NTS』として参戦していたが、2021年限りで撤退すると発表した。

 NTSは精密金属加工メーカーであり、航空宇宙、競技用自動車、船舶、医療業界に技術と製品を提供している。過去には、全日本ロードレース選手権のJ-GP2クラスに参戦し、2013年に野左根航汰がタイトルを獲得。2016年から2年間はCEV Repsol Moto2欧州選手権に参戦してオリジナルの車体を開発した。

 そして、2018年から4年間はロードレース世界選手権Moto2クラスに参戦。オランダに本社を置くRW Racing GPにNTS製シャシーを供給していた。

 しかし、コロナ禍で渡航が難しくなったことで、性能評価や開発、マネジメントが困難になり、オンライン会議やレース後のヒアリングで設計を進めていたという。また、2台体制でライバルとのデータ量の差が多いことなどにより、「本件活動の目的のひとつに掲げた設計力と開発力の向上があり、そうした環境で本来の意義を深化させることが難しくなった」ことから活動の継続が得策でないと判断し、Moto2から撤退すると発表した。

 Moto2クラスに参戦した4年間で、グランプリ出走回数累計140回、総獲得ポイント61点、最高予選順位5位、最高決勝順位8位というリザルトを残した。

 NTSによるプレスリリースは以下の通り。

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令和 3 年 12 月 25 日

FIM 世界選手権グランプリ Moto2 からの撤退のお知らせ

 株式会社エヌ・ティー・エス(代表取締役社長、生田目將弘:福島県石川郡石川町大字沢井字藤沢 95-18)(以下、NTS)は、2021 年度シーズンを最後に FIM 世界選手権グランプリMoto2から撤退することを決定致しましたので、ここにご報告させて頂きます。

 NTSは、2016年から2017年にかけてCEV Repsol Moto2 欧州選手権に参戦しながらオリジナル車体の開発を行い、2018年から2021年までの4年間はFIM 世界選手権グランプリMoto2に参戦。オランダに本社を置くRW Racing GP B.VにNTS製シャーシを供給しながらアップデートを繰り返し、設計力と開発力、企業認知度向上、従業員育成、製造技術の向上などを目的とした基盤強化を目指し活動してきました。

 コロナ禍で渡航が難しくなったこともあり、NTSによる直接的な性能評価や開発の方向性の模索、更には全体の状況を把握するマネジメント業務が一層難しくなりました。ライダーを含む関係者と現地現物で良し悪しを目の前にしながら協議していく貴重な機会が得られない代わりに、遠隔会議や事後のヒアリングを頼りに設計や開発を推進するよう努めてきましたが、それが現場の重要性を学ぶいい機会にもなりました。

 多数のチームを抱える競合他シャーシメーカーと比較して、NTS勢は2台体制。必然的に収集出来るデータやコメントの絶対的なボリュームが少ないことも、開発の推進力を上げるという観点では大きな課題でした。本件活動の目的のひとつに掲げた設計力と開発力の向上があり、そうした環境で本来の意義を深化させることが難しくなった今、同活動を継続することは必ずしも得策ではないと判断致しました。

 4年という年月を費やし、ロードレースの世界最高峰中量級に勝負をしてきたことは大きな自信と実績になりました。NTSの4年間の世界挑戦は、グランプリ出走回数累計140回、総獲得ポイント61点、最高予選順位5位、最高決勝順位8位というリザルトでした。製造技術について多くの改革や見直しができたこと、本活動が企業認知度の向上にも大きく貢献したことなど、様々な視点で疑う余地がない成果を上げ当初の目的の一部はしっかりと達成することができました。

 NTSは世界選手権グランプリからは撤退致しますが、今後は本業である精密金属部品の高品質な機械加工品製造請負う業者として、本活動を通じて培った自動車部品に対する理解や加工ノウハウを取引先に還元できるよう邁進していきたいと思います。

長きに渡り応援してくださった世界中のファンや、活動を支えてくださった企業様の今までの支援には、とても感謝しています。ありがとうございました。

以上

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