角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)にとって、F1の初シーズンはアップダウンの激しい1年となった。

 ハイライトはなんといっても、最終戦のアブダビGPだ。予選で初めてチームメイトのピエール・ガスリーに勝った角田は、レースでもファイナルラップで激しいバトルを制して4位でフィニッシュ。夏休み前の第11戦ハンガリーGPでの6位を上回り、自己最高位となる4位でデビューイヤーを締めくくった。

 このアブダビGPは予選とレースでガスリーに先着しただけでなく、1回目のフリー走行からフリー走行3回目、そして予選のQ1でもガスリーより上のポジションを獲得しており、週末を通して完全勝利した。

 また、このアブダビGPが角田にとって最高のグランプリだったと評価するのは、ガスリーを完封し、自己最高位を記録したからだけではない。今シーズンの22グランプリを戦ってきたなかで、週末をノーミスで過ごした末に最高の結果を残していた。

 角田は今年7回入賞しているが、開幕戦のバーレーンGPは予選Q2で失速。第6戦アゼルバイジャンGPは予選Q3でクラッシュし、レースでもリスタートで失速し、悔しい思いをしていた。第8戦シュタイアーマルクGPは予選でバルテリ・ボッタス(メルセデス)を妨害。第10戦イギリスGPは予選Q1で敗退し、それまでの自己最高位だったハンガリーGPは初日のフリー走行でクラッシュしていた。

 角田が高いパフォーマンスを披露しつつ、週末をノーミスで乗り切った最初のグランプリは第17戦アメリカGPで、そのとき角田は「今シーズンのベストレース」と語っていた。最終戦のアブダビGPではそのアメリカGPの9位を上回る4位だから、文句なく今シーズンのベストグランプリと言っていい。

 対照的にワーストグランプリはレースでの順位だけでいえば、17位に終わった第15戦ロシアGPとなる。しかし、内容的には第7戦フランスGPと第11戦ハンガリーGPをあえて挙げる。それは、このふたつのグランプリで角田がミスを犯したのは、このころの角田がチームメイトを意識しすぎていたからだ。

 フランスGPの予選でのクラッシュを角田はこう説明していた。

「FP1からブレーキで(チームメイトに)負けている部分があったのです。他は勝っていたのですが、ターン1と最終コーナーで(ブレーキングで)負けていて、そこで(タイムを)大きく落としていたので、まずはブレーキングをQ1の1周目で直したいという思いがありました。それで、ブレーキを奥にして強く踏んだら、予想以上に失速してイン側の縁石に乗り上がってしまってスピンしました」

 またハンガリーGPのフリー走行でクラッシュした後も角田はこう語っていた。

「主にターン4とターン11の高速コーナーでチームメイトに負けていて、それ以外はほぼ互角か他の低速コーナーでは勝っている状況だったのですが、ターン4、11でびっくりするくらい負けてたのでターン4を改善するために少しプッシュしたんです。そうしたら後ろがナーバスで壁に行ってしまいました」

 チームメイトを意識しすぎて、自分を見失っていたように思う角田。夏休み期間中に頭のなかをリセットし、後半戦ではアプローチを変えたのだろう。それが軌道に乗るまで数戦を要したが、第16戦トルコGPあたりから、徐々に自分のものにしていった。

 クラッシュしたことから何かを学び、それがその後の軌道修正につながった。もしそうなら、フランスGPもハンガリーGPも単なるワーストグランプリではなく、角田にとっては成長するためにくぐり抜けなければならない貴重な週末だったと言えるだろう。