元日から約2週間にわたって中東、サウジアラビアで開催された『ダカールラリー2022』が閉幕してからわずか2日後の1月16日、“世界一過酷”な砂漠のレースで総合2位表彰台を獲得したセバスチャン・ローブの姿は、フレンチアルプスを走るフォード・プーマ・ラリー1のコクピットの中にあった。

 WRC世界ラリー選手権で9度のタイトルを獲得した元チャンピオンはこの日、1月20〜23日に開催されるWRC第1戦モンテカルロに向けた事前のテストをMスポーツ・フォード・ワールドラリーチームとともに行い、スポット参戦への備えを万全のものとしている。

 既報のとおり前人未到の9連覇王者は、今季開幕戦のラリー・モンテカルロでWRCに復帰し、Mスポーツ・フォードが2022年シーズンに向けて新規開発した『フォード・プーマ・ラリー1』を同ラウンドでドライブする。

 今回行われたテストはそのための準備として行われたものだが、モンテカルロで最多7回の優勝を誇るレジェンドが直前までサウジアラビアでのダカールラリーに参加していたことが、事態を少々複雑なものとした。バーレーン・レイド・エクストリームの『BRXハンターT1+』を駆ってダカールの総合優勝争いを繰り広げたローブが砂漠のレースを終えた後、フィニッシュ地点のジェッダを出発して時間内にヨーロッパに戻るためのロジスティクスが課題となったのだ。

 ダカールラリーは中東時間の14日(金)午後に終了した。ローブは翌日の早朝に西へ飛び、スイスのジュネーブからはヘリコプターに乗り換えてアルプスを超え、Mスポーツがテストを行うフランスのギャップに向かった。

「彼が(予定どおり)日曜日の朝にクルマに乗っているのを見て、我々はとてもうれしかった」と語るのは、Mスポーツ・フォードWRTのリチャード・ミルナー代表だ。

「契約の面からも、大きなイベントから別のイベントに移るという点でも、セブ(セバスチャン・ローブ)がここに来るために皆が多くの労力を費やしてきた。彼は非常にプロフェッショナルで、ダカールから直接モンテに来るという話を最初にしたときから自分が何をしようとしているのか分かっていた」

「日曜日のテストは非常にうまくいった。順調で何の問題もなく、彼もとくに疲れている様子もなかった。彼はフレッシュでエネルギーに満ちていて素晴らしいよ。いま我々はこれからの1週間に焦点を合わせ、そこで何ができるのかを見ている」

 ミルナーは、ローブのモンテカルロでの結果を予測する際には慎重になるべきだと促した。

「仮にセバスチャンが表彰台を獲得できれば、それは素晴らしいことだ」と同氏。

「だが、それは楽観的するぎるかもしれない。これはラリー・モンテカルロであり、何が起きるか分からない。誰が勝ってもおかしくないラリーなんだ」

「セバスチャンについて公平な目で見たとき、彼が他のドライバーたちよりも(最近の)マシンに乗っている時間が少ないことを認識する必要がある。WRCからはもう1年以上遠ざかっているんだからね」

 とはいえ、2022年のモンテカルロはラリーの中心がフランスからモナコへ移り、ステージの約85%が新しくなったことを考えると、現役ドライバーたちにとっても難しいラリーとなるのは必至。また、マシンも従来のWRカーからハイブリッドシステムを搭載したラリー1カーへと変わっており、その点ではテスト量の差はあれどイーブンと言える。

 そうした状況下で経験豊富なベテランが強さを発揮することになれば、同じくモンテカルロにスポット参戦する現王者セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)とローブによる“セバスチャン対決”をふたたび見ることも不可能ではないかもしれない。