ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はTGR TEAM SARDの中山雄一選手がご自分の誕生年のA70スープラを購入しようかどうしようか迷っている……というお悩みを、GOODSMILE RACING & Team UKYOの谷口信輝選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークがこの企画です。これまでの連載は、まとめページを作りましたのでぜひご参照ください。



 前々回の野尻智紀選手から富田竜一郎選手、さらに中山雄一選手と“のじさんぽ”で繋がったこの『勝手にお悩み相談ショッキング』。中山雄一選手からクルマの悩みが出たので、それをぶつけるならこの人! というわけで谷口信輝選手に繋がりました。さっそくいってみましょう。

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■「気になったときが底値」です。
──ではよろしくお願いします。当然ながら、企画の趣旨はまったくご理解いただけていないですよねぇ?
谷口信輝さん(以下、谷口さん):はい。真っ白な状態で先入観なしの状態でいきたいと思います。

──えっと、『笑っていいとも』のテレフォンショッキングのような感じです。
谷口さん:友達の輪?

──そうです。話が早い。それをイメージしていただければと思います。まずはあるドライバーからお悩みをいただき、次のドライバーにそのお悩みを解決してもらいます。
谷口さん:さらにオレが次のお悩みを誰かに相談すると。なるほど。オレには誰から来たの?

──中山雄一くんからです。
谷口さん:ほお。なんでアイツはオレにしたんだ?

──雄一くんからのお悩みなんですが、1991年生まれなので誕生年に製造されたA70スープラが欲しいというものだそうです。
谷口さん:お〜なるほど。はいはい。なんでトヨタ車選ぶんだろう。冒険心がないな(笑)。

──敢えてそこはR32スカイラインGT-Rあたりでいって欲しかったですね(笑)。でも最近は1980〜90年代のスポーツカーがかなり値上がりしてるじゃないですか。
谷口さん:高いねぇ。

──そこで雄一くんは今買うべきなのか、今は買わないべきなのかを聞きたいらしく……。
谷口さん:いやいや! 欲しいのなら一刻も早くでしょ!

──やはりそうですか。
谷口さん:どんどん値段上がるよ! 株と違って、下がったときに買うとかはないから(笑)。もう価格は延々上がっていくから、欲しくなったとき、ずっと右肩上がりのなかで気になったときが底値だね。新車がないから程度や出会い次第で『もっと良い個体があった』ということもあるかもしれないけど、基本的に“安かろうはボロかろう”だから、いい出会いがあったらとりあえず相場とかを気にせずにいっちゃった方がいいと思う。その買った値段がそのクルマの価値になる。

 例えば500万で買っても、もともと新車の定価価格はもっと安いし、昔の相場で言ったらありえない値段だけど、もう世の中がそういう風になっちゃったんだから、それを買ってしまえば“500万円もしたんだ”という部分で愛情が湧くだろうし、気軽に『やっぱり違ったからすぐ売ろう』ということにはならないと思う。だから90年代のクルマに興味が湧いたら即買った方がいいね。

■あのヨタハチは「プランが加速しちゃった」
──なるほど。とはいえ、個体によってはかなりボロくなっていたりするじゃないですか?
谷口さん:それはもう受け入れるしかないね。あとは部品が手に入りにくい。メーカーのパーツはもう生産中止している状況とかも踏まえて、そこも楽しめるような気持ちで臨まないといけない。

──例えばレストアやオーバーホールをするとなると、けっこうお金かかります?
谷口さん:かかるね。大して性能が上がるわけでもない、ただ普通に戻すだけなのにお金がかかってしまう。ただ、そのクルマは本当に絶滅危惧に向かっていっているわけだから、それはそれでコレクションとしてありだと思うし、70スープラは歴代スープラのなかでは一番かっこいいと思う。オレは70の後期がいい。

────谷口さんはシルビアなども所有していますよね?
谷口さん:S15シルビアと180SXがあるね。

──メンテナンスはお金かかりますか?
谷口さん:かかるよ。メンテナンスというか、購入してオレの気に入るところまで仕上げていくあいだにお金がかかるね。維持するのにはそんなにお金はかからない。

──ちなみに敢えておうかがいしたいのですが、このあいだ遂に完成したヨタハチ(トヨタ・スポーツ800)はいかほど……!?
谷口さん:価格言うべき(笑)?

──気になって気になって。
谷口さん:たぶん、一般の人がヨタハチを買ってきてあの仕様にすると、1000万円ではぜんぜんきかないと思う。まずヨタハチ自体が高いし、車両価格を抜いて“谷口価格”もちょいちょい入りながらだと……。

 とはいえパーツは基本的に買っていて、エアロは作ってもらえて、ホイールはRSワタナベさん、足はHKSさん、シートはブリッドさんから協賛してもらったけれど、あとは全部作り物ばっかり。エンジンはもらい物でオーバーホールやチューニングしたり、ミッションももらってオーバーホールしてハウジングを作ったり、キャブやドライサンプキットを買ったり、ボディのレストアと塗装のやり直し、RSファインで骨を作り、アームやデフを買ったりマフラーやエキゾーストを作ったり……。

──果てしないですね。そこまでして作りたかった一台なんですか?
谷口さん:そこまでして作りたかったかと言われるとちょっと違うかな。始めちゃったらプランが加速しちゃった。最初はもっと軽いノリで、ヨタハチを安く譲ってもらいました、で、それをストレスフリーで乗れるようにただしたかっただけ。なのにプランが加速してめちゃくちゃボディをいじりエンジンも変えて、かなりスパルタンなヨタハチになっちゃった。だから、当初よりプランが加速しちゃって、どんどんとスゴいことになってしまったということだね。

■MTかATかも迷いどころ
──雄一くんがA70スープラを作るにしても、“目的地”をしっかりと決めた方がいいですかね。
谷口さん:いやいやいや! 別に買ってみたら気が変わるかもしれないし、オリジナルのまま乗りたいかもしれないし、自由よ。自由。

 彼が学生でバイト代で買うとかだったら遠回りしないように話を聞いて『じゃあこういう風にしたら?』とアドバイスをするけど、そうじゃなければ、どんどん道が変わっても全然アリだと思う。何より70スープラを選んだのが渋いなと思うね。

 ところでね、スープラってMTを買うかATを買うのかが大きな分かれ道なの。スープラは明らかにATの方が内装がデジパネでカッコいいのよ。ただ、MTの方がちょっとショボいけど乗って楽しむのはMTかもしれない。オレは70スープラが好きだから、欲しいと思ったときにATを買うかMTを買うか迷う。五分五分だな。

 20ソアラだったら間違いなくATを買うけど、70スープラはどっちを買うだろうな〜。エンジンも2.5リッターの1JZ-GTEと3リッターの7M-GTEUがあるんだけど、オレが18歳くらいのときにマブダチが70スープラに乗っていたからまぁまぁ詳しい。だから懐かしくて、70スープラへの思い入れもちょっとあるのよ。

──これは良い人に相談しました。
谷口さん:正直80スープラにはそんなに興味ないの。80スープラは織戸(学)くんの場所だという雰囲気もあるから、オレは80には手を出さない。70はいいと思うよ。そのころは日本がバブルのときだったからクルマもお金がかかっている。

 ただ、雄一は今どきのクルマしか知らないだろうから、そりゃあ今どきのクルマに比べたらボロい。でもドライバーという職業柄クルマ好きでいてほしい気もするから、オレとしてはうれしいな。

■悩みはあまりなさそうですが……
──ありがとうございます。そんなこんなで、次の方にお悩みをぶつけて欲しいのですが、谷口さんは最近悩みあります?悩みをGTドライバーの誰かにぶつけてほしいのです。
谷口さん:う〜んと、最近ゴルフがちょっと下手でね……(笑)。織戸くんはもう出た?

──出ました。
谷口さん:逆に誰が残ってるの? 悩みを相談するとしたらオレよりも年上になる気がするんだよね。年下に悩みを相談するのもどうなのというところあるから。そうなると新田(守男)さん、真ちゃん(高木真一さん)、加藤(寛規)さん、織戸くんになっちゃう。

──ワタクシもちょっとそれは思いました。なのであえての2回目でもいいですし、悩みが多そうな若者を紹介していただいても大丈夫です。
谷口さん:えっ!? どういうこと?

──織戸さんのときには、スーパー耐久でチームメイトだったタクロー(篠原拓朗)に『アイツは悩みが多いよ』と紹介してくました。
谷口さん:へ〜。じゃあ織戸くんの悩みはないってこと?

──織戸さんの悩みは老眼くらいでしたねぇ。
谷口さん:それはどう解決したの?

──それは解決せずです(苦笑)。
谷口さん:なるほど。オレはドライバーとの交流が少なめだから全然知らない……。若者も知らないもん……。

──そういえば先日、SNSを拝見したら加藤さんや青木(孝行)さんと一緒にいましたよね? 加藤さんとかたくさん悩んでいそうじゃないですか?
谷口さん:加藤さん? あの人はタヌキだから自分の内側は明かさないんだよね。本心を言わない人だから、全日本タヌキ選手権のトップ争いにいる人だよ(笑)。でもやっぱり加藤さんに『体や目がいろいろと大変でしょうけれど、どうやって保っていますか?』ということを聞くのが無難なのかな。

──そうしましょう。では加藤さんでよろしいですか?
谷口さん:トレーニングや目のケア、加齢臭はどうしていますかと聞いておいて。

──ではその方向で。ありがとうございました。

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 そんなこんなで、A70スープラには一家言ある谷口信輝さんでしたが、いかがでしたか? 中山雄一選手はもちろん、皆さんもクルマは「いい出会いがあったらとりあえず」いってみましょう。

次回はmuta Racing INGINGの加藤寛規選手です。ベテランになるといろいろ出てくる悩みについてですが、どんな回答が来るのか、どうぞお楽しみに!