ABB FIAフォーミュラE世界選手権とFIA国際自動車連盟は4月29日、モナコ・ヨットクラブで2023年“シーズン9”のデビューが予定されている第3世代の“Gen3”シャシーを初公開した。このGen3は、戦闘機の空力フォルムにインスパイアされた破壊的なデザインを持ち、フォーミュラEのレースが開催されるストリートサーキットでのホイール・トゥ・ホイールに特化・最適化が行われている。

 パフォーマンス面では、フォーミュラE史上最速となる最高速度322km/h(理論値)を誇り、レースで使用されるエネルギーの40%以上を回生ブレーキでまかない、最大出力350kW(470BHP)の電気モーターによる電力効率は、内燃エンジンの約40%に対し、約95%を達成するフォーミュラ・レーシングカー史上最も効率的な車両になっている。

 また、フォーミュラカーとして初めてフロントとリヤにパワートレインが搭載され、リヤの350kWに加え、フロントに搭載された新パワートレインで250kWを追加し、現行シャシー“Gen2”の2倍以上となる合計600kWの回生能力を実現。さらにレース中の追加エネルギーとして、世界最先端商用充電器の約2倍となる600kWの超高速充電機能にも対応する。このフロントパワートレインと回生能力の追加により、リヤに油圧ブレーキが搭載されない初のフォーミュラカーとなる。

 サステイナビリティも意識されたGen3は、搭載されるバッテリーに持続可能な方法で調達された鉱物を使用し、バッテリーセルは再利用され、使用後はリサイクルが行われる。また、リネンとリサイクルカーボンファイバーが車体構造に使用され、Gen2からリサイクルされたカーボンファイバーを使用することで新規カーボンファイバー使用量が全体的に10%以上削減される予定で、タイヤについてもレース後にリサイクルが行われるという。

 さらにマシンのアップグレードは、車両に組み込まれたオペレーティングシステムへソフトウェアアップデートとして提供される予定で、空力開発プログラムに代わり、モータースポーツの革新と競争における新しい戦場として、ソフトウェアエンジニアリング面での進化を果たす。

 このGen3の公開に、FIA会長を務めるモハメド・ベン・スレイエムは「技術的にも環境的にも、Gen3はこのスポーツに新しい基準を打ち立てるものだ。FIAとフォーミュラEの開発チームは素晴らしい仕事をし、私はこのプロジェクトにおける彼らの努力に感謝する。また、シーズン9でのGen3デビューを心待ちにしている」と述べた。

 また、フォーミュラE最高経営責任者であるジェイミー・レイグルは「Gen3はモータースポーツの常識を覆し、挑戦し、妥協することなく性能、効率性、持続可能性のベンチマークを設定するものだ。2023年にフォーミュラEのチームとドライバーがこのマシンをどのように限界までプッシュするのか、待ちきれないね」とコメント。

 さらにフォーミュラEの創設者兼会長であるアレハンドロ・アガグも、「レースカーの世代を重ねるごとに、私たちはEV技術の可能性の限界をさらに押し広げており、Gen3はこれまでで最も野心的なプロジェクトになった。モナコで開催されるモナコE-Prixに注目が集まっているが、モータースポーツの歴史的な故郷で、2年の歳月をかけて製作したマシンを公開できることを誇りに思う。フォーミュラEとFIAの素晴らしいチームに感謝する」と語っている。