2022年、アルファタウリの角田裕毅は、F1での2シーズン目を戦っている。昨年に続き、エディ・エディントン氏が、グランプリウイークエンドを通して角田の動きをくまなくチェックし、豊富な経験をもとに、彼の成長ぶり、あるいはどこに課題があるのかを忌憚なく指摘する。今回は2022年F1第4戦エミリア・ロマーニャGPについて語ってもらった。

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 私は自分が正しいと証明されたときにも、決して威張り散らしたりはしない。鋭い頭脳を持ち、それでいて矢のようにまっすぐで、自画自賛する立派な理由があるときでも、静かに淡々としている人間であることはご存じのとおりだ。──おいおい、何を笑っている。これは真面目な話だ。

 何が言いたいかというと、トロロッソ、ではなくアルファタウリの少年、彼がすごいドライバーだということが、今回はっきりしたということだ。私が去年から主張していたとおりになった。

 昨年は皆、彼に厳しすぎた。多くの人々は、ドライバーたちがその時々でどういう状況にいるのか、そしてなぜそういう状況になっているのかを正確に探り出す作業を怠り、表面的なことしか見ない。ドライバーたちに何が起きているのかを深く理解するために、ラップタイムを分析する力も持たない連中だ。

 だが私は違う。私は、手に入るすべてのデータに目を通し、詳細に分析してからでなければ、ドライバーに対する評価は下さないのだ。──何か言いたそうだが、話の腰を折らない方がいいと思うぞ。こうしている間にも1分単位で私が請求する報酬額が上がっていっていることをお忘れなく。

 さて、去年私が強調していたことを、皆さんに思い出してもらおう。角田裕毅は当時、日本から出てきて2年ほどしかたっていなかった。いろいろな新しいことに慣れなければならない段階だ。新しい国、新しい文化、新しい食べ物、新しい言葉、異なる気候、新しいコース、新しいテクノロジー、新しいライバルたち、新しいスケジュール……すべてが新しい。そしてそばには友人もいない環境だった。F3で1年、F2で1年を走っただけの少年だ。F1デビューシーズンで、初めて走るコースで苦労をするのは、当たり前のことではないか。それを、フランツ・トストですら、一時期忘れていたようだ。

 ちょうど1年前、イモラの予選Q1開始早々に、裕毅は、バリアンテ・アルタのアウト側のガードレールにマシンのリヤをヒットしてしまい、その瞬間、自信をひどく失ってしまった。デビュー戦は好調だったが、あっという間にチームを激しく失望させてしまうことになり、彼が自信を取り戻すのには数カ月かかった。

 今年のイモラでの彼は当時とは大違いだった。週末初めからピエール・ガスリーより速く、複雑なコンディションだったFP1ではその差は1.5秒。予選では0.25秒差をつけた。

 土曜に行われるあのミニレース(モンデロパークでのフォーミュラ・フォードより短い。ばかげたレースだ)でも、角田はガスリーよりはるかにいい仕事をした。ガスリーはスタート直後に周冠宇とクラッシュしてしまったのだ。ガスリーにはアルファロメオがどこにいるのか見えていたが、周からすると、ガスリーがどこにいるのか想像するしかない、そういう状況で起きたクラッシュだった。一方角田は16番グリッドから12番手でフィニッシュだ。17台が同じ戦略で走るなかでそれだけ順位を上げたのは立派なものではないか。

 日曜決勝は、ウエットからドライへと路面が変化する難しいコンディションだった。そこで角田は、F1で上位争いをする力があるドライバーであることを証明してみせた。タンブレロでダニエル・リカルドがカルロス・サインツを突き飛ばしたこともあって、角田はすぐに10番手に上がり、フェルナンド・アロンソのマシンが壊れたことで9番手に繰り上がった。良いペースで走りつつ、タイヤも良い状態に保ち、ケビン・マグヌッセンとセバスチャン・ベッテルを相手にオーバーテイクを成功させた。ここはアルファタウリにとってホームグランプリだ。応援しに来た従業員たちは、角田の7位がどれだけうれしかったことか。

 彼が獲得した6点で、アルファタウリはコンストラクターズ選手権でハースを抜いた。トストは喜んだことだろう。さらにドライバーズランキングで角田はガスリーを追い越した。

 今回の角田は、速さ、一貫性、レーステクニックのどれを見ても立派なものだった。2023年のシート争いにおいて最高のアピールになったのではないだろうか。レッドブルのジュニアドライバーたちがF2で失敗したその日に、すごいレースをしてみせたのだ。これ以上ないタイミングだったといえるだろう。

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筆者エディ・エディントンについて
 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。