ポルシェのモータースポーツ責任者であるトーマス・ローデンバッハは、ドイツのブランドがLMDhカーのデビューイヤーとなる2023年に4台のワークスカーに加えて、最大4台のLMDhカスタマーカーを割り当てる計画であると述べた。

 ポルシェは2020年12月に新しいプロトタイプカー・プログラムを発表して以来、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のトップクラスに参戦する独立系チーム向けのカスタマーマシン販売に関心を持ち続けている。

 ローデンバッハは、ファクトリーが提供できる運営上のサポートに基づき、ポルシェが来シーズンに供給できる顧客用車両の最大数を4台と見積もっている。

 ポルシェとチーム・ペンスキーの合同チームとなる“ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ”は来年、IMSAシリーズのGTPクラスとWECのハイパーカークラスに、それぞれ1ペアのニューマシンを投入する予定だ。

「私たちは明らかに自分たちに制限を課した」とローデンバッハはSportscar365に語った。

「最初の決断は、そう、最初のシーズンからカスタマーカーを提供したいということだった。本来、それ自体が難しいことだ。LMP2時代、我々はそれをしなかった。私たちは最初の年にペンスキーのクルマを競争させたただけだった」

「(ワークスカーは)IMSAで2台、WECでも2台が最大の数になる。それ以上は絶対にない。対して(カスタマー用のクルマは)1台ずつになるかもしれないし、1台と2台になるかもしれない。だがそれでいいんだ。顧客が何を望んでいるかによる」

 ローデンバッハは、ポルシェにとってLMDhのカスタマーカーをできるだけ多く販売することが「目標ではない」と繰り返した。

「我々は、顧客にクルマを提供する場合、適切な方法でそれをサポートすることもできることを確実にしたい」と彼は述べた。

「だから、それ以上(の台数)は絶対に言わなかった。これは私たちが正しい方法でやりたいと思ったことが主な理由だ」

「ポルシェが(FIA GT3カーの)911 GT3 Rのようなカスタマーカーを販売する場合、私たちはつねに充分なサポートを提供するという一定の期待がある。決して無理をしてはいけないんだ」

「経済的な観点から、もう1台、もう1台と販売することが目的ではない。私たちはクルマがグリッドについている場合、カスタマーチームがレースにエントリーした場合、プログラムが一定のレベルで実現できるようにしたいんだ。決して、ただ単にグリッドをポルシェで埋め尽くしたいというわけではない」

■2024年以降の供給台数は未定

 カスタマーベースのポルシェLMDhの台数は、再来年の2024年シーズンには4台以上に増える可能性があるが、メーカーはまだそこまでの決定を下していない。

 ローデンバッハは、「さらに増えるかもしれない」と示唆。

「それについてはまだ決めていない。私としてはそれを排除するつもりはない。可能性はある」と述べた。

「もし、それをやりたいと思っているチームがいて、その人たちに能力があると我々が判断すれば、私はそれを排除することはないだろう」

 ポルシェは、LMDhを走らせたいという独立系チームからいくつかの問い合わせを受けているが、重要な課題は現実的にレースプログラムを生み出せるものを見極めることだ。

 あるプライベーターチームのボスは最近、ポルシェのLMDhマシンの1シーズンのランニングコストを、250万ユーロ(約3億4000万円)の初期投資に加えて、600万〜800万ユーロ(約8億2600万〜11億円)の範囲になると推測している。

 ローデンバッハによれば、LMDhのプロトタイプを走らせるためのローリングコストこそ、顧客エントリーを実現するために「整理する必要がある」ものだという。

「通常の状況では、ポルシェのレーシングカーは2〜3年後に売却すれば、かなりの金額が戻ってくる。だから、それは問題ではない。それよりも、チーム運営やスペアパーツにかかるランニングコストの資金が問題になってくるんだ。顧客と話をしていると、この点を解決しなければならないようだ」

「大きな関心が集まっている。私たちとしては、それが本気なのか、可能性を模索している段階なのかを判断するのが難しいところだ。これまでの話し合いと今ある関心からすると、私たちはとても満足している。最終的に何台のクルマがグリッドに存在しているかは明言できないがね」

「最初の交渉から契約の締結、そして最初の融資の間には大きなステップがある。しかし、多くのチームが大きな関心を寄せている。結果がどうなるかを見守っていこう」